2006年12月23日

(HK)中国出張中の出来事

 中国本土にある関連会社の工場に行きました。そこには最先端の機器が導入されていて、また製品サンプルも多く置いてあるところなので、昨年何回かお世話になったのです。


 先週、一年ぶりぐらいに訪れてみると、そこの周りもやはり様変わりしていました。普段は香港にいるので中国の事情はよくわかりません。ただ、私の知っている中国に限って言うと、よく用途のわからない、おそらく農地ではないただの荒地みたいなところに突然道路が延びたり、でかい建物が現れたりします。そういう土地がどれくらいの広さなのかはわかりませんが、とりあえず今のところ、限界に達してはいないようです。荒地に建った工場の裏にも、さらにまだ荒地が残っているので。


 ところで私は普通の海外旅行をしたことがありません。全部仕事がらみで海外に行っています。だから、常に外国の表面しか見ていないのかもしれない、と考えることがあります。


 仕事自体は午前中で終わる簡単なものでした。そこで、夕方の会社のシャトルバスを待たずに、自力で帰ることにしました。会社に呼んでもらった安全なタクシーでバスターミナルに向かい、深セン行きの切符を買いました。ちょうど昼の12時ぐらいでした。
 バスが出るまで時間があったので、何か軽く食べようかとターミナルのあたりを少し歩いてみました。けれども、入るのに躊躇するような店ばかりでした。それに、遠くまで足を延ばすのはなんとなく危険な気がして、結局ターミナルに戻ることにしたのです。
 こういった行動が若い、例えば大学生の観光とは違うのかな、と思います。バッグには大切なサンプルやノートパソコンが入っているし、色々怖い情報は耳にしているし、そもそもあちこち見てやろうという好奇心がないのです。


 一回りして来ると、深セン行きのバスが止まっていました。もう乗り込んでしまおうと思っていると、近くにいる小さい子供たちに目が留まりました。小学生ぐらいの男の子と女の子、それより小さい女の子です。ぼさぼさの頭に茶色い顔をしていて、それは日焼けなのか風呂に入れずに汚れているのか分かりませんが、とにかく幸せそうには見えませんでした。やがて男の子は持っていた空箱を頭にすっぽりとかぶりました。大きい女の子は突然包丁を手に取り、次々と箱に突き立てていきます。どうやら手品ショーが始まったようです。その傍らで小さい女の子は包丁をおもちゃにして遊んでいます。


 かぶった箱はかなり大ぶりのものだったので、多分包丁は男の子の顔をかすめるように刺さっているのだろう……と思っていたところ、男の子が突然箱を持ち上げました。そもそも包丁が短くて、顔まで届いていないことがそこで判明しました。すると女の子は困った様子で、男の子に向かって何かを説明し始めました。
 もう全然芸になっていなくって、見ていて切なくなりました。周りには私以外にも大人がいて、中にはにやにや笑っている人もいます。彼らはここの住人でしょう、そこまで粗末な身なりはしていません。
 経済が発展しているこの地域には普通に学校があるので、ほとんどの子供はそこに通っているはずです。一方、その子たちには親はおらず、どこか中国の奥地から生き延びるためにやってきたのだろうか……と想像しました。


 香港にも物乞いの人がいますが、それを見ても今まで特に何も感じませんでした。けれども私も親なもので、初めて見た子供のそういった姿は本当にこたえました。でも正直に付け加えるならば、実際のところ何かが変わる・何かを変えられるなんてことはないと、すれてしまった私は依然考えていました。
 そんな私ですが、ここで自分が感じたことだけは忘れないでおこう、そう強く思っています。

2006年12月6日

(HK)中村さんと仕事と私

 スレイブと揶揄された中村さんが香港に来て、講演をしていったようです。パンフレットの中では、中村さんは暗い研究室の中で青色レーザーを片手に持ち、もう片方の手をあごに当て、読者のほうを見やりながら考え事をしている様子でした。雰囲気が出ているいい写真でした。


 個人的にとても気になる人なので、ぜひ実際に話しているところを見たかったのですが、400香港ドル(約6000円)はあまりに高いと思いました。そして、そういうことにお金・時間を使わないのが氏の教えではないかと、都合よく考えました。モノを人任せにせず自分の手でさわれ、とことん考えぬけ。そういう主義が中村さんの発明につながったと、自分なりに解釈しています。


 会社に遅くまで残ってデータだとか装置だとかを見ることがあります。そういう時はたいてい「長時間働く自分」というのに酔っていたりして、偉人である中村さんと自分を重ね合わせたりします。ところが実際のところは、残る理由が皆無とまでは言い切れないものの、自分の工夫次第で早く終わらせられたケースが多かったのではないか……という気もします。


 個人的には残業という概念など存在しない=就業時間にとらわれず成果のために働いている、つもりです。なので……ライフハック系の記事なんかを読んで「甘っちょろいわ!」と悪態をついたり、しまいには「ソフト屋にモノづくりの何たるかがわかってたまるか」なんて妄想を振りかざしたりしています。でもきっと、それは自分を肯定したがっているだけなんでしょう。


 結局、自分を客観視するのはとても難しいということで。例えば、私は「ばりばり仕事している」はずですが、インターネットのライフハック系の記事を読んでいる時点で、加えてこうやって文章を書いている時点で、スレイブ中村的「ばりばり」には到達していないのです、きっと。
 ちょっと客観視できたところで、今日はおしまいにします。

2006年11月24日

(HK)帰ってきました。

 出張の際、東京駅の周りを夜、ぶらぶらと歩く機会がありました。周りの人はみな冬の装いをしていて、クリスマスの飾り付けがあちこちに目に付き、そういえばそんな季節なんだなあ、と感じさせられました。
 今週は雨降りの寒い日もありましたが、私が着いた日などは20度以上の気温で、こちらはまだまだ冬という感じではありません。

 香港に入る際、試してみたいことがありました。香港のイミグレが事務手続きの簡素化のために導入した自動審査機、その名も「e-道」です。センスのない名前ですが、小林亜星氏らによる「E電」が廃れたのとは違ってそれなりに普及しているようです。
 この「e-道」では、自動改札のような感じで香港のIDカードを読み込ませれば審査完了です。違うのはゲートを開けるのに指紋を認識させる必要があるところです。今までは香港の永久居民だけがそれを使えたのですが、制度が変わってこれからはIDカード保持者なら誰でも可になりました。
 しかし、勘違いをしていたようで、今回は残念ながらエラーになってしまいました。結局、有人の窓口に行き、そこでシールを貼ってもらったので、次からは使えるはずです。

 キャセイに載っていて、食後にアイスが出るというので楽しみにしていたところ、棒アイスが出てくるのでびっくりしました。チョコレートでコーティングされているやつです。
 仕事で香港に向かうという雰囲気のスーツの男の人も、横の席で袋を破ってそれにかじりついています。それはこっけいな光景でした。やがて私も手渡されました。
 せっかくだから食べますが、でも急がないと溶けてべどべどになる恐れがあります。というわけで大きな口を開けて思いきりかんだのですが……なんという硬さ! 溶けないようにという心遣いか、ものすごく冷えていたのでした。
 あげく、表面のチョコレートがぱらぱらと散って服につき、自分の行為のせいとはいえ、何だか悲しい気分になりました。アイス自体はおいしかったのですけど。

2006年11月16日

(JAPAN)久しぶりの日本出張です。

 今回は香港から10人、日本にやってきました。 そのうち日本人は私を含め2人です。大きなミーティングがこの日本の地方都市で開催されたのです。
 今日で予定通りすべてのセッションが終わりました。話し合いは明日も残っているのですが、全体会議が完了したので今晩は開放感にあふれた気分です。自分の発表もなんとか済みました。今は安いビジネスホテルに戻って、それでもそこはインターネットは自由に使えるので、飲み会後のほろ酔いの頭でこうやって文章を書いています。コンビニで買った『たっぷりホイップクリームプリン』137円がむちゃくちゃおいしいです。

 8人の香港人と年が近いのは私のほうなので、今回の出張では通訳の役目が多いです。でもいやな気はしません。今日の飲み会の後、みんなでコンビニに行きました。20分近くわあわあ騒ぎながらアイスだのお菓子だの買いました。行動は例えるなら高校生のような感じでしたが、平均年齢だと優に30を超えているような団体なので、ものすごく異様な光景だったと思います。彼らが広東語でべらべらしゃべっている時には、それを眺めているだけしかできませんでした。でも、いつも一緒に働いている人たちが本当に楽しそうにしているのを見ていると、本当にこちらまで楽しくなってきました。
 他の国との付き合いとか考えると何だか難しそうですが、私個人的にはこれでいいんだと思いました。明日一日だけこちらで仕事をして、また香港に戻って、いつもどおりに働きます。

2006年11月6日

(HK)死亡筆記

 死亡筆記は『デスノート』のことです。何でも映画の前編が大変好評だったらしく、そのおかげで後編は香港でも今月同時公開となりました。私はというと、先週ちょうどマンガのほうを全部読み終えたところです。『デスノート』、恐るべし。引き込まれる内容と活字の多さで、かなりの睡眠時間を奪われました。

 で、気づいたことですが、まあ、いつものようにどうでもいいことなんですが、第二部でニアが出てきてSPKなる組織が作られますよね。あの本部の建物のモデルは香港上海銀行(HSBC)本店だと思うのです。とっても似ています。

http://images.google.co.jp/images?sourceid=navclient-ff&ie=UTF-8&rls=GGGL,GGGL:2006-26,GGGL:en&q=%E9%A6%99%E6%B8%AF%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E9%8A%80%E8%A1%8C&oe=UTF-8&sa=N&tab=wi

 だとすると、ニアが脱出のときにああいう行動をするのも納得だなあ、と。いやいや、ただ建物がモデルになっただけでストーリーには何の関係もないのですが。でも、この前近くを通りかかった時には、なんとなく見上げてしまったのです。

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2006年10月23日

日曜日にそごうにて

 デジカメを新しく買って、古いのが自分専用になったので、思わずこのページでやったこともないレポート風の記事を前回は書いてしまったというわけです。やったことのない写真の貼り付けにも苦労しました。浮かれた雰囲気を汲み取っていただけたならば幸いです。

 久しぶりに銅鑼湾のそごうに行ってきました。いつも混んでいる印象があるのですが、昨日もそうでした。
 目的の一つはゲーム『ラブandベリー』でした。娘がやりたいというのです。夏休みに日本に帰っていた際にそれを知ったようです。香港に戻ってきてやれる環境ではなくなりましたが、そごうにそのゲーム機が置いてあると聞きつけて、またやりたくなった、と。
 ちょっと複雑な親心です、というのも、そんな無駄なものに金使うなよ、と思う反面、ゲームを楽しめるぐらい成長したんだなあ、と思ったりもしているので。
 そんなわけで集めたカードを大事に持ち、いざ、そごうへ行ってきたのですが……。

 結論を言うと、楽しめませんでした。そごうに設置されていたのは英語版で、日本語版のカードは読み込めなかったのです。手持ちのカードを組み合わせて使うところがこのゲームの面白さなのですが。
 英語版のカードを持っていなかった娘は、ベリーがパジャマ姿で街へと繰り出して行くのを悲しそうに眺めていました。こうなってしまったら、いかにタンバリンを頑張ろうとも「いけてる度」をあげることは不可能です。

 その場で何回もお金を投入して、英語版のカードをそろえるということも考えましたが、教育的配慮でやめにしました。
 来月のDS版の発売が本当に待ちどおしくなりました。

2006年10月21日

モスバーガーにいます(実況形式でお送りします)。

 先日書いたAPMに来ています。オープン当日のモスバーガーです。とんでもないことになっています。すごい長い列の最後尾に並ぶ羽目になりました。私のミッションはハンバーガーを買って帰る、ただこれだけなのですが、何かとてつもない困難であるように感じられます。というのも係員が近くに来て、
「全部のプロセスで一時間半ほどかかる」
 と言うので。今は7時20分です。このメモ帳につらつらと書き連ねていくことにします。

 

 10分ほど経過しました。まあそれなりに進んではいますが、列の中間地点まではまだ到達していません。後ろをみると若干列が短くなっているようです。すなわちもし今並び始めたならば、受け取るまでの時間はもっと短くてすむはずです。もう並んでしまっているので全く無駄な考えです。
http://f.hatena.ne.jp/toomuchpopcorn/20000321033807
 係員がまた来ました。「あと60分」と書いた紙を持っていますが……後ろに行け、後ろにっ……と念じたにもかかわらず、数人前のところに貼りつけました。ちっ、まだ60分以上か。

 

http://f.hatena.ne.jp/toomuchpopcorn/20000321034624 
 45分鐘のところまで来ました。さっきより上手に写真が撮れました。はじめはデジカメを取り出すのが少し気恥ずかしかったのですが、後ろの少年もケータイで撮っているし。大体30分近く並んでいます。横では家族連れがすでにモスを食べています。
「ね、おいしいでしょ」
 と、無理やりにでも好意的な感想を聞き出したいです。
 また係員が来ました。
「トマトがなくなった」
 なんて言っています。トマトがない状態で売り続けるんですか……。そうだ、オーダーするものをそろそろ決めないとなあ。

 

 店の様子が見えるところまでやってきたので、そこを撮ろうと思ったら、係員に止められました。というわけで、肝心なところで写真がなくなってしまいました。

 

 8時25分、無事ハンバーガーを受け取りました。

 

 家に着きました。この時間まで晩ご飯を待っていてくれた家族に渡します。あわてて写真を撮ります。これはテリヤキチキンだと思います。
http://f.hatena.ne.jp/toomuchpopcorn/20000321045210 
 あ、ちなみにトマトは何とか確保できたようで、きちんとオーダーしたモスバーガーの中に入っていました。

 

 本当においしかったです。今日はこんなところで。

2006年10月19日

そんなものまで食うのか

 注意:食事中には読まないほうがいいかもしれません。

 「飛ぶものは飛行機以外、四本足は椅子以外」とはよく聞く言葉ですが、だからといって海鮮料理の店の水槽にカブトガニが入っていたら……そりゃびっくりしますって。日本だと天然記念物ですよ。でも今ウィキペディアを読んでみると、確かに香港では食されていると書いてありました。
 お客様も私たちもさすがに怖気づいて水槽に入っている奴をオーダーしようとは思いませんでした。

 食事の後、海鮮料理屋が立ち並ぶそのあたりを散歩していたときのことです。何と噂のカブトガニが二匹歩道で寝そべっている(=息絶えつつある)のです! 私たちが近寄っていくとすかさず客引きに捕まりました。死にかけの広告材だったようです。
 で、本当に怖かったのはカブトの内側というか裏側です。まるで忌み嫌われるあの「虫」のような脚が折りたたまれていました。一対の脚は申し訳程度にハサミの形をしていました。そして脚の付け根、つまり裏側の中央部に口らしきものが……。なぜそんなところに。
 気になる方は画像検索をご自分でどうぞ。すぐ見つかります。

 本当の蟹なんかも結構グロかったりしますが、カブトガニは未知であるがゆえの恐怖でした。ところで、どう食べるかはいまだに謎です。ぱっと見では、カブトガニはわりと薄くって、脚も「虫」みたいで、どこにも身なんか入っていないような感じでしたが。

2006年10月16日

酔っていると妙に真剣に考えてしまうことがあって。

 去年偶然アルバムを買ったため、私はその曲を知っています。けれども……BoAの『メリクリ』は誰もがカラオケで歌うような有名な曲なのでしょうか。私にはわかりません。
 フィリピン人女性が歌うのを聞きながら、真剣に考えはじめました。日本からのお客と一緒にそういう店に行ったときのことです。

 どこから突っ込めばいいのかわからない状況です。日本語の歌詞を読めるということもまあ驚きですが、『メリクリ』=クリスマスの歌だという認識はあるのでしょうか。ほら、きっと彼女たちはクリスチャンですし。いや、そもそも、雪が降っている、という状況をフィリピン人に香港で熱唱されても。もしや、ハングルバージョンも歌えるのでは?

 あらためて、ああ何だかよくわからないところにいるなあ、と思いました。

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2006年10月10日

ご参考までに

 デイリーポータルZの記事にて、私が個人的に恐れているところの月餅の中身があらわな写真になっています。ちょっと引用します。

対していかにも月餅という大きな方は、しょっからい卵にこれでもかという甘いハス餡の味付けになっていた。

調べてみると、この大振りのものが伝統の中秋月餅の味らしい。

しょっぱさが餡の甘さと合って私は大好きだった。うん、月餅好きの母や祖母にも食べさせてあげよう、そんな味がした。


 著者の方には大変申し訳ないのですが、この文章と断面写真だけで舌先に味が蘇ってきて、私は参ってしまいました。

2006年10月4日

(HK)星巴克月餅を買いに行く。

 今週末に中国の伝統的な休日の一つ、中秋節があります。それを祝うのに欠かせないのが月餅です。あちこちで山積みになって売られているのを見かけるようになると、秋が来たんだなあ、と感じます。こちらでは昼の気温はまだまだ高く、汗をかくぐらいですけれども。
 毎年思うのですが、この月餅、あんまりおいしいものではないのです。基本はタルト生地の中に味がついたゆで卵の黄身がごろっとそのまま入っている形式のもので、黄身の数が多ければ多いほど高級とされます。でも最近はいろいろ変り種も増えてきたようです。

 例えば、アイスになっていて冷やして食べるものがあったり、はたまた、全然関係のないチョコレートを月餅もしくはMoon Cakeと称して商魂たくましく売っていたりもします。そんな中、今年選んでみたのはスターバックスのMoon Cakeです。「星巴克月餅」と書かれた中国っぽいそれなりにおしゃれな箱に入っていました。チョコレート味とチーズ味の二種類があって、どちらもおいしかったです。もちろん黄身がそのまま入っているということはありませんでした。
 ただ……正直なことを書くと「月餅としては」美味だったなあ、と。月餅のカテゴリー内に納めようとして作られたお菓子だと感じました。風物詩だから仕方ないのかもしれません。でも、純粋においしいものを食べたかったなら、他のものを買うでしょう、私の場合。

 月餅を買って家に持ち帰る際、久しぶりのスターバックスだったのでコーヒーを飲んでいくことにしました。そこで壁にかかっているメニューをじっくりと眺めました。もちろん日本にいるときもスタバに入ったことはありますし、当然香港でも何度もあります。わざわざ略語まで交えて力みながら書くのは「何回も行っているにも関わらずただ慣れていないだけ」と主張したいからで。決して「初めてスターバックスコーヒーを訪問したから」ではないのです。
 暖かいものが飲みたかったら「カフェラテ」、冷たいものだったら「アイスラテ」といつも一つ覚えで頼んでいるので、たまには違うものでも、と思ってメニューを見ていました。

 じゃあモカでも頼んでみようか、と決めて、私はレジへと向かいました。慣れていない私にとっては、注文はちょっとした緊張の一瞬です。別に店員にどう思われようと客なんだから構わないはずですが、それでもカッコ悪いのは嫌だと思ってしまいます。さて、レジに着くと、そこには壁にかかっているのとは違う種類のメニューが置いてあります。商品の写真も入っていてわかりやすくくなっています。英語中国語加えて日本語まで添えられているではないですか!

 ああ、そんなものを使ってしまったら、メニューを長い間眺めていたのが「英語に自信がなく話しかけられなかったから」と思われてしまいます! スタバの注文システムがわからないことよりも、それはもっと屈辱的です! そこで、置いてあるメニューなどまるで目に入らないかのような態度で「アイスモカ・トール」を頼んだのです!
 とまあ私は完璧を期したのですが、結果はというと、「ところでクリームはどうする?」という質問を受けてちょっと返答に間が空いてしまったのです。つ、次こそは!

2006年9月26日

(HK)観塘にモスバーガー予定地を見に行く。

 観光客なんてほとんど行かないと思われる、九龍側の少し不便なところに観塘という街があります。昔は軽工業で栄えたのでしょう、職住が一体となった古い雑居ビルが連なっているある意味とても香港らしい街です。ここの一角が最近再開発されてショッピングセンターになっています。

 香港には日本のスーパーのような大規模な小売業者は存在せず、不動産業者がビルを建てそこにテナントを募集して『商場(ショッピングセンター)』とするのが普通です。新しい商場に入居するのには多分かなりの資本が必要で、その結果お馴染みのチェーン店がどこの商場にも入ることになり、個性のないものばかりになってしまっています。そんなわけで観塘の新しい商場『APM』にもあまり期待はしていなかったのですが、とりあえず行ったことがなかった、というのと、そこにモスバーガーが来るらしい、というので出かけてきました。

 香港でファーストフードといえばマックで、日本以上の普及率だと思います。宅配もやってくれるため、我が家では「困ったときにはマック」という感じでずいぶん利用しています。でもさすがにそろそろ違うものを食べたほうがいいんじゃないか……と思っていた矢先にモスが香港に来るという情報が入り、かなりうれしくなりました。そもそも日本にいるときからモスは好きでしたし。思わず身近な日本人に吹聴したりもしました。そして人に聞いて回ったところ、APMにできるということがわかりました。

 行ってみたところ、フードコートの真ん中に簡単に予定地を見つけることができました。いやまあ、そこが予定地だという以上の情報は得られませんでしたが。開業がいつかも明記されてませんでした。実はもうオープンしてたりして、なんていう期待があったので少し残念でした。
 でも、あのモスならではのハンバーガーの写真にComing Soonと添えられているのを見て期待を膨らませました。香港島の中環でも銅鑼湾でも、九龍にしても尖沙咀でも旺角でもなく、なぜか観塘。モスの一号店は成増だったというマニアックな事実を思い出して、勝手にうんうんと頷いています。

2006年9月16日

(TEXT)夏オセロ

 しばらくネットをしてなかったのですが、たまたま見た『第一回萌やし賞』なるものに触発されて表題のものを書いてしまいました。

 また大幅な字数オーバーで、なんとなく臆病になって応募してません。そもそも『萌え』とは関係なしに、自分の好きなように書いてしまっていますし。

 よろしかったらどうぞ。

夏オセロ(第一回萌やし賞 字数オーバー)

2006年9月3日

(HK)異国での遭遇

 今日使ったタクシーの運転手さんの座席後部の透明アクリル板には、月島自動車交通(株)と書かれていたので大変興味深かったです。3から始まる8桁の電話番号も書いてありました。
「月島って東京の下町で、たしかもんじゃが有名だよね」
「でも、どの辺なんだろう? 行ったことないよ」
 なんて話をしました。

 月島自動車交通(株)さんで使われていたタクシーが中古車として香港に売られてきて、内装がそのままになっているのでしょう。香港島・九龍のタクシーの色は赤、と決められているので、外はきちんと塗りなおされていましたが。香港も日本も右ハンドルなので、そういうことがよく行われているようです。

2006年9月2日

(HK)スーパーのタラバガニ

 家の近くのスーパーは、香港資本のどこにでもあるチェーン店のひとつに過ぎないのですが、時々びっくりするようなものを売り出します。先週はタラバガニでした。

 鮮魚売り場に行くと大きな水槽が設けてあって、その中に生きたタラバガニが2匹いたのです。この辺で採れるカニではないと思うので、空輸でもしたのでしょうか。しきりに口の周りの触角みたいなものを動かしていました。北の海で育まれたであろう立派な足と、とげのある甲羅でした。本当にカニって複雑な造形をしています。
 そんなふうに私はしばらく感嘆しながら見ていました。そして、それだけでは済まさずに別の買い物をしていた家族を水槽の前まで連れてきて観察させました。でも、家族にはカニの面白さがわからなかったようです。
 当然その生き物は商品で、大:800ドル 小:600ドルぐらいの値段がついていました。2匹が大なのか小なのかは不明でした。けれども小でも日本円でおよそ8000円という値段がついており、こんなところでそんな買い物をする人がいるのか、いたとしても調理できるのか謎に感じました。

 今週はそのスーパーに2回行きました。1回目には何とカニは3匹に増えていました。2回目には水槽が撤去されていました。この事実から多分誰かがお買い上げになられたのだと思います。そして私は悲しいような安心したような変な気持ちになりました。

 エゴ以外の何物でもないのだと自覚しています。私も昔タラバガニの足の部分を軽く火であぶって食べたことがあり、大変美味だと思いましたし。とりあえず廃棄処分にはならなかったようなので、それはよかったのではないかと。でも、香港の消費者がいくら金を持っているからといって、生きたまま空輸してスーパーに並べるのはタラバガニを金持ちの「おもちゃ」扱いしているような気がしました。
「はっはっは、じゃあパパがこのタラバガニを買っちゃうぞー」
 みたいな。それが商売だと言われれば何も返せませんが。
 せめてこちらの日本料理屋に卸して、職人にさばいてもらいたいと思いました。あ、でもこっちの金持ちはスケールが違うので、実はタラバをさばける料理人ぐらいお抱えなのかもしれません……。

2006年8月28日

(JAPAN)日本に滞在してました。

 先週一年ぶりぐらいに帰国して、歯医者や映画や動物園に行ったりしました。

 歯医者では、医師ではない別の資格をもつ若い女の人ががりがりと歯石をとってくれました。一通りとり終わると、彼女は、
「はい、おしまい!」
 と言うのです。
 私は違和感を覚えながらうがいをしましたが……あれってやっぱり私が子供扱いされたんだと思います。普通、患者に対しては丁寧に
「終わりです」
 とか言いませんか?

 いつも子供ばかり担当していて、ついそういう口調になったと考えるのが自然でしょう。でも、ひょっとするとため口で親近感や仲の良さなどをアピールする作戦だったのかもしれません。
「ねえ、ちゃんと歯磨いてるの?」
「ほら、ここのとこ残っている! 後で痛くなっても知らないからね」
「80歳になっても、最低でも20本ぐらいは残ってないとダメなんだから」(8020運動)
といった具合に姉さん口調で説教してくれるとか。

 いや、そういう趣味はないのでそのオプションは遠慮したいところです。

2006年8月16日

(HK)用心

 私の職場では、データをファイルに保存する際によく日付を名前にします。でも私は大抵日付なんか覚えていないので、画面の右下までマウスを持っていってウインドウズさんに教えてもらうのが常です。

 今朝は他のエンジニアと一緒にモニタを見ながら作業していました。PCを操作していたのは私です。「Save As」のウィンドウが開いたので、名前を日付にしようと思い立ちました。終戦記念日の次の日ですから16日……なんと、まずいことに瞬時に日付が頭に浮かんでしまったのです!

 用心に越したことはありません。すかさず私は、
「Today is...」
 とか怪しい英語をつぶやきながら平静を装いつつ、右下にマウスを動かしたのです。

 正直そこまで気を回す必要はないとは思うのですが。

2006年8月15日

(HK)広州日本国総領事館からのお知らせを読みました。

「以下の点に注意願います」と書いてあって、一番初めに来るのは、

「中国人と興味本位で不必要な政治談議、議論をしないこと」

でした。いや、本当に興味ないんでわざわざ心配してくれなくても。

Windows Live Writer

使えるものかどうか試してみます。

Temporary Post Used For Style Detection (5f36f0a3-0421-4dc8-bc5c-6ee231defe05)

This is a temporary post that was not deleted. Please delete this manually. (865f6549-533f-446c-9fd0-eb9ebeb13212)

2006年8月14日

(HK)がんばれオカモト

 オカモト株式会社がウェブに載せている、世界最高品質のコンドーム開発秘話「40ミクロンの壁を突破せよ!」を見ました。根が単純なほうですから、こういう話には感情移入してしまいます。地道な努力が実を結ぶというストーリーをうんうんうなずきながら読みました。

 文章の中には、オカモトが達成した薄さに外国メーカーは追随できなかったため、「ある一定以上の厚さがないと輸入を認めない」という条項を設けてその製品及びオカモトの海外進出を阻んだ、というくだりが出てきます。最終的には厚さではなく、ある規格を満たすか満たさないかというフェアな条件に改められて、オカモトの不利はなくなったとのことです。これを読んでいて、スキーのジャンプを思いだしました。その競技には身長によって使えるスキーの長さが決まっているという表向き公平なルールがあるのですが、日本人選手が多く該当する低い身長については条件がより厳しく設定されており、そのため飛距離の落ちる短い板の使用を強いられている、そうです。

 実際にはジャンプ競技では「厳しい」「甘い」というのを議論するのはとても難しく、その条件が本当に不公平かどうかははっきりしないでしょう。けれどもオカモトのケースのように、客観的に見て間違ったルールで競争させられるならば、それはものすごく不幸だと思われます。農業だとか自動車だとか、政治家が張り切る分野なら「貿易障害だ」と日本国がかわりに交渉してくれるのかもしれません。けれどもケースが小さいときはあんまり当てにはできないような気がします。
 だからこそ、そうした局面でのエンジニアの奮闘ぶりを想像して、感嘆したのです。

 ところで、ワールドカップの思い出で書いたように、この前私はイングランド・サポーター、ブラジル・サポーター、ドイツ・サポーターなる名称のゴム製品群を目撃しました。それのどこがどうサポーターなんだよおい、と思っていたところ、オカモトの話を読んで少しわかった気になりました。技術で勝負できないからああやってイメージで売ろうとしているに違いありません!
 少し力んでしまいました。でも、ゴムはもう成熟した商品なので技術的なアドバンテージだけで売れるというものでもなさそうですが。
 ちなみにそのゴム製品群の発売元は、日本人が世界で最もセックスの頻度が少ないとお節介に報告してくれるDurex社です。ちなみに香港は下から二番目でした。(←リンクを貼ろうと思いましたが、検索してみたところものすごく下品なページだったのでコピーにとどめます。http://www.durex.com/jp/gss2005Content.asp?intQid=1055&intMenuOpen=)
 回数が少ないからどうなんだとも思います。しかし、そこから男性が女性を大事にしていない、だとか、仕事ばかりで家庭を顧みない、とかいう議論に誘導されがちであって。ちっ、これもきっと日本人が最下位になるような不利な質問だったに違いありません!

2006年8月13日

(HK)自戒

 香港のお勉強好きの風潮についてちょっと書いたのですが、まあだからといって仕事の能力的に香港の人々が劣っているかというと、私はそんなことはないと思っています。ただ、こちらにいる日本人は「仕事ができる」という価値観を最上のものにすることが多く、そしてそれは大抵長時間労働を意味しています。それゆえこちらの人々が正当に評価されない、という傾向は若干あります。

 はっきり認識しなければいけないと個人的には思うのですが、香港の「勉強がよくできる」をもてはやす風潮も変ですし、日本人男性にありがちな「仕事がよくできる」、もしくはもっと極端な「仕事さえできればいい」という価値観も間違っているのです。家族と一緒の時間を削って毎日働き続ける、こちらのほうが人間的に見るとまずいはずです。「勉強だけできてもだめ」には賛成できるのに、「仕事だけできてもだめ」となると「いや仕事は大事だよ」と反論したくなる人って多そうです、自分も含め。

 自分自身はよく長時間労働をします。けれどもそれを人にさせるのは無理だと気付きました。ただそういう仕事スタイルを隠そうとはしていないため、依然周囲は無言のプレッシャーと受け取っているかも知れません。「仕事に狂った日本人像」の普及に一役買ったままです。

 結局、「一人一人違う」という当たり前の結論に落ち着いています。こんな働き方を許してくれる家族には感謝しています。

2006年8月10日

(HK)會考と香港の「お勉強」事情

 會考というのは香港の生徒にとって一番重要な試験で、将来就職するかもっと学べるかはその成績次第という、ある意味人生がかかったもののようです。日本でいうところの高校2年生がその試験を受けます。先日その結果発表がありました。
(ここからはうろ覚え・かじった知識です)日本の入試とは異なり、會考の成績は大学の合否とは直結しません。どちらかといえばセンター試験に近いですが、各教科のスコアが生徒に知らされるところが異なります。生徒は自分の成績をもとに進級する学校を選ぶことになります。当然学校側は成績のいい生徒を取ろうとするので、成績が悪いとどこの学校にも受け入れてもらえない→就職決定 となります。(うろ覚え・かじった知識終了)

 こちらのテレビのニュースでは、かなりの時間を割いてその話題を取り上げていました。成績を渡された生徒が喜んだり泣いたりする様子が映っていました。スコアはABC……という数段階のもので、10個のAを取った大変優秀な生徒は学校から表彰されたり、テレビ局のインタビューを受けたりしていました。わかりやすい受験戦争っぷりです。
 今はどうだかわかりませんが(こう書くあたりオヤジ入っています)日本だってかなりの受験戦争国なはずですが、日本の場合いくら勉強ができてもそういう扱いにはならないと思います。「勉強だけできてもだめ」という共通認識があるからでしょうか。

 一方香港は多分「勉強がよくできる」というのは日本よりもいろいろな場面で有効のようです。驚いたことに彼らは大学新卒の就職活動においても會考の成績を見せますから。そして大学卒である優秀ですばらしい自分にふさわしい仕事(彼ら自身が勝手に定義している)をやりたがります。
 まだまだエンジニアとして若輩者の私が言うのもなんですが、
「そんなきれいな仕事なんてないよ」
 と。机上でただひたすら設計するとか、他人に指図してやらせるだとか、そんなのがエンジニアの仕事だと思ってもらっちゃあ……愚痴になったのでやめます。

 それにしても、香港の学生の場合、そのプライドみたいなものが傷つくことはないのでしょうか。日本だったら大学生だからといって就職・将来が約束されているなんていうことは全くないし、それよりもなによりも若いときの「彼女・彼をつくろう活動」は勉強とは無関係ですし。至る所で「勉強だけできてもだめ」と容易に気づくと思うのですが。はっ、もしや香港の場合勉強ができるとモテモテっすか?
 結論として、上の妄想を瞬時に否定できないぐらいこちらの学歴信仰は強いです。

2006年8月6日

(HK)米線を食べながら

 会社に日本語を話せる中国人がいます。彼は日本の大学に留学していたとのことで、独特のアクセントはあるものの、きちんとした構文で話します。私は一緒に働いたことがないのでわからないのですが、他の日本人と日本語でエンジニアリングな議論をしているそうです。ところで、彼は中国本土の出身者なので広東語が話せません。

 そんな彼と一緒に昼ごはんを食べたときのことです。会社近くの麺の店で私は米の麺{米線}『まいしん』を頼みました。で、
「今日は米線にしました」
 と日本語で話しかけたのです。

彼: 『まいしん』って、あのファーストフードの? ほら、美しい心、って書くレストランあるでしょ。
私: 確かに{美心}という店はありますね。あれってでも、『めいさむ』と読むのだと思うのですが。
彼: そうなんだ、私広東語わからないから。じゃあ、『まいしん』っていうのは。
私: この麺の事です。米の線、と書いて『まいしん』。
彼: へー、よく広東語知っていますね。
私: いや、食べ物の読み方だけですよ。

 今まであまり話したことのない人でしたが、そんな感じになって、いろいろと話が盛り上がりました。途中ふと彼の出身地のことが気になり尋ねてみると、
「浙江省『せっこうしょう』です」
 と言うのです。ああ上海のほうなのかなあと思ったのですが、同時に『せっこう』っていう発音じゃないんだろうなあ、という疑問もわきました。
 例えるなら、東京はその知名度ゆえに『とうきょう』ですが、北海道は『ぱっほいどう』(広東)って感じです。

2006年7月31日

(TEXT)第二回萌理賞

 400字の小説を募集しているというので、『萌え』がよくわかっていないのですが思いつきで書いたところ、4倍以上の字数でやっと収束するというお粗末な結果になりました。当然応募はしていません。

 せっかくなので、何となく「はてな」に参加したくて確保しておいたアカウントに載せました。有効活用の一歩かもしれません。もしよろしければどうぞ。

平年を上回る暑さ

2006年7月27日

(HK)会社にAが来た。

 会社の、上司の上司の日本人が私の席の近くをたまたま通りかかって、
「どう?」
 と聞いてきました。非常に忙しい人なので、下々のことを細かく知っているわけではないのでしょう。それであいさつ代わりにこちらの近況を聞くのです。
 すぐに適当なアイテムが浮かんだので、私はそれを報告しようとしました。こういうときは間を空けずに答えるほうがいいと経験から学んでいます。でも、その時は状況が異なったのです。上司の上司は私の言葉を待たずに、
「今、Aと会ってきたんだけどさあ」
 と語りだしました。


 Aというのは、名前は伏せますが、名前の通ったテレビ業界の人でした。なので、
「ええっ!」
 と私は声に出して驚きました。Aはテレビ局の人と一緒にわざわざ弊社にやってきたそうです。
「それって取材か何かなんですか」
「いや、違うと思うよ」
 そんなやり取りの後、上司の上司は、
「見る?」
 と言いながら、名刺を見せてくれました。Aは多分フリーで仕事を引き受けているのでしょう、名刺には縦書きで名前と住所が書いてあるだけで、肩書きや会社名みたいなものはありませんでした。メールアドレスもなく、ものすごくシンプルでした。


 私と話している時、上司の上司は面倒ごとが片付いたような様子でした。が、名刺をわざわざ私に見せてくれたあたり、別な感情があったのかもしれません。そして私はというと、自分が会ったわけでもないのに、
「Aが今日会社に来たんだよ」
 と、家族に話してみたり、ここにこうやって書く始末です。


 Aはそれなりにお年を召していて、人気タレントとかアイドルとかわけではありません。Aの出ている番組は、存在は知っていますが見ないタイプのものですし。また家族なんかは、
「Aかあ。ふーん」
 という感じでした。
 けれども私はしっかり反応してしまったわけで、改めて有名人はすごいなあ、と思います。そしてそういう有名人に反応してしまう自分も、何というか、単純だなあ、と……いや、上司の上司が単純だなんて、そんなことは思っていませんから! Aが超ビッグなんですよ!

2006年7月21日

(HK)拉麺屋での悲しみ

 香港ではラーメン(拉麺)は日本の食べ物ということになっています。それは正しい認識でしょう。

 例えば日本の場合、ラーメンは中華っぽい屋号・構えの店で出されることも多く、そういう店だとチャーハンや天津飯といった中華料理っぽいものもメニューに載っていると思われます。まあ、ラーメン専門店のほうが圧倒的多数だぞ、という事実は置いておいて。
 一方香港では日本の食べ物という扱いですから、拉麺屋でそばが出てこようが天ぷら定食もあろうが何の不思議もないといった風情です。

 家族で近くの拉麺屋に行った時の話です。
 そこは上の説明がそのまま当てはまる店で、手軽に日本料理が食べられる店ということで愛用している日本人も多く、繁盛している様子です。香港の人にも好評のようです。
 店にいつもいるオーナーっぽい人は日本人ではないのですが、日本の漫画をおいたり、木彫りの熊を置いたり(札幌ラーメンを名乗っている建前上)と、雰囲気は日本的です。で、店内にはいつも日本の歌がかかっているのですが……。

 最近どうも趣味が悪いんです、その選曲。まさに『日本の歌』という感じでJ-popと呼ぶのを躊躇する古さで。かといって演歌でもなく。
 その時は尾崎→KAN→槇原と来たので、夫婦二人無口になってしまいました。私の場合、なぜか無性に、
「申し訳ありませんでした」
 と謝罪したくなりました。何に対してかは自分でもわかりませんでした。

2006年7月17日

(HK)はてな社長の渡米および私が香港にいることについて

 彼とは同じぐらいの歳なので、アメリカに行く! という気持ちはなんとなくわかるような気がします。「このままじゃいけない……」と感じたときに、それは何となく解に見えますし、「若いうちに行っておこう」というのも十分理由になると思うのです。少なくとも私はそうでした。


 そのニュースを色々と考えていたら、自分が香港で製造業に従事しているということに起因するやっかみが次々と浮かんできました。これはまずいです。
 そこでここで働く魅力を存分にアピールすることにします。


 でも改めて考えたのですが、取り立ててアピールする内容は思いつきませんでした。なんだか麻痺してしまっているのかもしれません。とりあえず、

 中国本土は怖そうだなあ、英語も通じないし。
 日本にいい仕事あるかなあ、消費税も上がるんでしょ?
 アメリカはイメージはいいけど、食事と移動手段がね。英語下手だし。

 と他の選択肢を消去すると、見事香港が残るのです。


 ほとんどの社員を日本において渡米するということから、彼は「会社が大きくなるためには、自分の成長が不可欠だ」と考えているように見えます。これを自己中心的と評するとネガティブになってしまいます。けれども私は、一エンジニアとして身を立てていきたいのだろうなあ、と共感します。ちょっとえらそうですが。

2006年7月9日

(HK)決勝戦の前ですが、ワールドカップの思い出を書いておきます。

 先週のいつだったか、深夜にやっている無名な映画をぼーっと見ていたら、外からウァーともギャーとも解釈できる叫び声が聞こえてきました。それも一ヶ所からではありませんでした。それで思い出したのです。急いでチャンネルを変えるとまさにイングランド対ポルトガルがPK戦になっていました。

 私はイングランドにもポルトガルにも肩入れせずに全くの第三者で見ていたつもりでしたが、それでも心拍数は上がったような感じで、平静ではいられませんでした。さすがに声は上げませんでしたが。
 ご近所さんは一回蹴るたびにもっと反応していました……ここは香港だからイングランドびいきが多いのかもしれません。いや、実は本物のイギリス人が住んでいるのかも……ともかくすごい熱の入りようでした。

 結局、最後にイングランドの負けが決まってしまいました。落胆の声が聞こえてきました。が、聞いているとどうもそれだけではなく歓喜の声もあります。ポルトガル関係者がいるのでしょうか。
 後で考えてみると、香港に海を挟んで隣接するマカオはポルトガル植民地だったので、旧宗主国対決だったんですね。特別な思い入れを持った人がいたのかもしれません。


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 スーパーで見かけたワールドカップ関連商品について記録しておくことにします。

 私はレジに並んでいました。日本のスーパーと同じように、レジの周りには電池だとかお菓子だとかが配置されています。買い忘れることのないように、というよりも商品をあからさまに見せ付けることで、需要を喚起していると思われます。香港の場合、その場所に風邪薬だとかゴム製品だとかが加わります。薬局の規制がないから風邪薬も売れるんですね。

 長い導入でしたが、ゴム製品なんです、その関連商品というのは! イングランド・サポーターとかブラジル・サポーターとかいう名称の、国旗がアレンジされた箱になっていて、でもゴム。装着すれば君もサポーターですか、誰かに見せるのですか、それともやっぱり自己満足ですか。そして君はそれを使い捨てにするというのですか! いやそれ以前に商品自体に普通のものと比べてどういう違いがあるのか、きちんと説明してもらいたいです。ええ私は買いませんでしたから。

2006年7月7日

(HK)ライチを食べる

 知り合いの奥様からもらったというライチが食卓にありました。何でもその奥様の旦那さんが中国から買ってきたものだそうです。
 ライチは今がシーズンです。道端にそれを扱う専門の露店ができたりします。けれども、特に深い理由はないのですが、こちらで買い求めたことはありません。生活に必要不可欠なものだけを揃える、そういう買い物を主にしているからかもしれません。

 ところで、日本にいるころはライチが割と好きだった、と思います。大学生だった昔の話ですが、あの時はよくファミレスに通っていて、どこだかの店のサラダバーでライチばっかり食べていました。サラダバーのその他の食べ物がおいしくなくて、結果そればかり何度も取っていたのかもしれません。当時(だけでなく今も)私は車を持っておらず、車持ちの彼女や友人に頼み込んで深夜に大学を抜け出して、郊外のバイパス沿いのファミレスに行ったのです。いい息抜きでとても楽しみにしていたことを思い出しました。

 食卓の上のボウルの中のライチは、けれども、日本で目にするものとは異なり色も大きさもまちまちでした。緑っぽい小さいのがあるあたり、農業として生産されているものではなく、ひょっとしたらその辺の木から適当にもぎ取ってきたものなのかも……なんて、よその旦那さんに失礼なことを想像してしまいました。で、味のほうはというと……一つ目はとてもおいしかったのですが、二つ目は熟れすぎていたのか変に甘く、三つ目からはどれもえぐく、舌にいやな後味が残るものでした。日本で売っている冷凍ライチのほうが均一なおいしさがある、という気がしました。

 全く予想外でした。そして、むきになって食べ続けたら家族に止められました。ちょっと悲しくなりましたが、昔のことなど回想できて少しそれに浸れたのでそれで良しとしました。
 後日談です。別の奥様からもらったライチは見かけこそ日本の冷凍物に劣りましたが、とてもおいしかったです。あ、なんだかライチをもらってばかりいます。今度は自分たちで買ってみます。

2006年7月4日

(HK)小さな旅

 昔お世話になった人が出張で深センの蛇口というところに滞在しているというので、訪問してきました。いつもは陸から中国に入るのですが、蛇口は突き出た半島なのでフェリーを利用しました。
 やっぱり船旅は好きです。ぼーっと何も考えずに遠くの島だとかすれ違う船だとかを眺めていました。約1時間という所要時間もちょうどいい感じでした。

 船旅は香港に観光で来るならば、私としてはぜひお薦めしたいイベントです。蛇口は中国本土なのでパスポートが要りましたが、香港内の島だったら不要です。値段も安いし、乗船時間も短くて手ごろです。ただ、
「行って何をするの?」
 と聞かれると、結局、
「もっとぼーっとできますよ」
 と答えることになるのですが。

2006年6月22日

(HK)ブラジル戦を前に

 この前の日曜日、21時になったのでテレビをつけるとNHKのBSニュースが映りました。あれっ、日本時間22時、つまり香港時間21時にキックオフなはずだけど……と思っていたらそのニュースの中で、
「現在クロアチア戦はBSハイビジョンで放送されています」
なんて言っているじゃないですか。「今ご覧の」チャンネルではないんですね……。
 その前のオーストラリア戦はどのNHKだか忘れましたが、見られたのです。多分それはBS1かBS2かのどちらかで、この2つだったら香港の今の住まいでも映るのですっかり油断していました。そういえば放映権とかありましたね。日本では民放が担当していたのでしょう。

 結局試合の様子は、ニュースで後から見ることができました。録画といえども川口のスーパープレイにはびっくりしました。また日本にとってとても惜しいシーンもありました。ただあのように編集で切り出されてしまうと、ほんのいくつかのプレイが全てかのように感じてしまいます。真実はどうなのでしょう……そういう細部が全体の勝敗を本当に支配しているものなのでしょうか。

 ともかく後もう一試合することができます。可能性はまだ残っているわけですから日本選手のモチベーションは下がらないでしょう。ブラジルは主力選手を使わないかもしれませんが、控えメンバーといえども強力で、しかも彼らはプレイを渇望しているのでその気持ちも加わって、最強ブラジルが登場することには変わりがないでしょう。ワールドカップという最高の舞台で最強の相手とやれるというのは、日本のサッカーというこれからも続いていく「道」にとってかけがえのないものだと思います。ここまで来たのはすごいことだと思います、でもここで終わりじゃないのです。

 サッカーごときにいろいろ重ね合わせるのはやっぱり愚かなのかもしれません。けれども8年前と今とを比較して、
「全然変わっていないじゃん……」
 と思わされるなんて耐えられません、私は。
 日本サッカーはあえてぬるま湯から出て世界にうって出たのですから、もっと高いところを目指してもらいたいと願っています。

2006年6月14日

(HK)敗戦の次の日

 先週タクシーに乗った時、行き先をつたない広東語で告げるとすぐに日本人だと看破されました。お前は日本人か、という質問が来るのはおそらく運転手さんが日本・日本人に興味があるからでしょう。で、その時はワールドカップの話になったのでした。
「中国はだめだった、でも日本と韓国はアジアの代表で出ることができる、だからGoodだ」という内容をしきりに語るのです。香港は基本的に対日感情がいいということを差し引いてもなかなかうれしい会話でした、が……。
 今日の香港の新聞には試合を評して「莫氣」と書いてありました。中国語と日本語でニュアンスは異なるかもしれませんが「莫氣」=「莫気」=「ボケ」。


 ところで昨日の試合を見ていて、
「あ、サッカーは試合中にタイムアウトが取れないんだ……」
と感じました。当たり前のことかもしれませんが個人的には発見でした。選手たちは自分の役割を認識し、勝利を望み、基本的に彼らの仕事をしていたと思います。けれども周囲からの期待だとかラッキーだった先取点だとか、そういう邪念がわいてきてその瞬間瞬間の判断がずれ始めた場合、サッカーの場合修正するのが難しいのでしょう。あくまで門外漢の想像ですが。


 想像といえば、私は、
「代表たちの小学生時代のコーチが田舎で試合を観戦している図」
というのも思い浮かべました。この機会に新調したかもしれないハイビジョンの薄型大型のテレビに、ひょっとしたら抱きつかんばかりに近づいて、きっと叫んだことでしょう、
「走れ」「諦めるな」
と。そういったメッセージはシンプルでありがちで、でも普遍的な価値を持っていると思います。


 単なるボール遊びに多くの人が勝手に色々なものを重ねています。私も昨日は三点目が入ったら不愉快になって、テレビを消してしまい最後まで見ませんでしたし、その後は速攻寝ました。今日は通勤中目に入る香港の新聞の記事がまるで日本人を卑しめているかのように映りました。
 私はこのような状況を作り出せる主である選手たちをすごいと思います。また、すごいのだということを選手たち自身に改めて気づいてもらいたいと願っています。そして翻って自分を省みています。やっぱり最後までやらないと、と。

2006年6月3日

(Text)初めてのアメリカ出張 ストーリー風味

 帰りのフライトは深夜一時なのだが、早めにサンフランシスコ空港に向かうことにした。行きと同じようにマークが送ってくれることになった。日が落ちてもまだ明るい、そんな時間帯に車はハイウェイをひた走る。運転席のマークと話しながら、けれども私の目は流れる景色を眺めていた。今回は初めてのアメリカだったから飽きることはなかった。知っているハイテク企業のオフィスが次々現れ、それら企業と自分とは接点がないのにも関わらずなぜか無性にわくわくした。何もないとしか形容しようのないだだっ広い空間があった。ボディに「sell」と大書してあるおんぼろ車が走っているのを見た時は、やっぱり本当にアメリカ人はそんなことするんだ、と自分の目で確認できてうれしかった。車は結構なスピードが出ていると感じたが、ちらりと見た表示盤の数字がマイル時だったのでどうでもよくなった。

 マークに会ったのはこの出張が初めてだった。しかもこんなふうに車の中でのみ話をする、その程度の係わり合いしかなかったせいか、車中時々話が途切れ私は気まずさを感じた。
 ふと私は思いついて、その日の昼食を話題にすることにした。というのも行ったのは中華、それも広東料理っぽい點心だったし、かつ話の相手、マークは香港出身・サンノゼ駐在だったので。あれは本当の広東なのかとか、中華野菜をこっちでも栽培しているのかとか、そんなやりとりをしていると、マークが問う。夕食はどうするのか、と。何か適当に空港で探して食べるつもりだったので、そう伝えると、一緒に食べようと誘ってくれた。ありがたい話に頷いていると、何料理がいい、中華か? と聞く。
 結局、彼のよく行く広東料理の店に連れて行ってもらうことになった。初めてのアメリカ出張、予想に反してアメリカンじゃない食事が多い。

2006年5月23日

(HK)戻ってきました。

 おそらく日本と同様に、近頃香港もあまりよい天気ではありません。それだけに先週末行ってきたカリフォルニアの青空はとてもうらやましいものでした。サマータイムのせいか午後五時でも明るく、確かに残業なんかばかばかしくなる、そういう土地のように感じました。

 今回の旅行ではなぜか中華をよく食べました。特に最後の日に行った店では広東語でオーダーすることが可能でした。

2006年5月4日

(HK)初めてのアメリカへの出張

 自意識過剰に昔のことをまた書くと、2003年に香港にやってきたのが私にとっての初めての外国体験でした。その後、中国と韓国に行きました。で、今月アメリカ出張です。英語が通じるか心配です。いや冗談ではなく、香港的サバイバル英語しか使っていないので。それから時差も心配です。なんだか幼稚な心配ばかりです。
 行き先はシリコンバレーです。エンジニアの理想郷らしいですね。せこせこ働かざるをえない日本人には不釣合いなんでしょう、きっと……と恋愛に例えれば「ツン」気味に予防線を張っています。


 ところで一緒に働いている香港のエンジニアに、
『アメリカに出張、決まったよ』
 と告げた時のことです。本当に行けるのか? とずいぶん心配されました。よく聞いてみるとビザのことを案じてそう言っているようなのです。はぁ、アメリカにビザ? 聞いたことないけれど……。
 911以来入国審査が厳しくなったっていうし、パスポートもIC化らしいし……と他にも気になることがあったので、とりあえず近くの日本人に確認してみました。結果、いくつかわかったことがあります。
日本人はアメリカ渡航にビザはいらない。

 まあ、例えばハワイに行くのにビザがいるなんて、そんなことはないだろうと思っていたので、案の定という感じでしたが。
中国(香港)人、韓国人はビザがいる。(わかったのは香港のケースだけですが)香港でさえもかなりの確率でビザ発行が拒絶される。

 行き先・日程・向こうで会う人間などすべて確定しているビジネストリップでも、初回はうまくいかないことが多いそうです。大学の卒業の証明だとか、書類も色々と準備しなければいけないそうです。


 こういう事実を知ると、日本の国際的な微妙な立ち位置を理解できます。アメリカのビザ免除国はヨーロッパ中心の以下の国々です。(アメリカ大使館のサイトより。2006年5月4日現在)
アンドラ、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルネイ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、モナコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェイ、ポルトガル、サンマリノ、シンガポール、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、英国
http://japan.usembassy.gov/j/visa/tvisaj-waiver.html

 いわばアメリカさんのお友達リストですね。ここに載るのがどんなに大変なのか、どういう付加的な意味合いを持つのか持たされるのか、難しいことだなあと思うにとどめます。けれども、

私:『ビザ、いらないらしいよ』
同僚:『え、何で』
私:(言いにくかったのですが)『日本人はそうらしいよ』

という会話の時の同僚の反応だけは、今でも思い出すことができるのです。

2006年5月2日

(HK)ゴールデンウィークにおもちゃ屋で

 香港にはゴールデンウィークはありません。中国にはありますが。

 またまたおもちゃ屋の話です。2006年・香港、なぜか現在当地ではガンダム(中国語では『高達』)のホワイトベースが山積みで売られていて、それには『木馬號』というタグがついているのです。

 確かに物語中『木馬』と呼ばれはしていましたが、主にジオン軍からであり、つまりそれは蔑称に他ならないはずですが……も、もしや、香港はジオン側?

2006年4月7日

(HK)しなもんが犬ならシナモンは?

 「はてな」というウェブサービスを提供する企業が興味深くて、訪問したり少し利用してみたりしています。その企業にはマスコット的扱いをされている犬がいて、名前を「しなもん」と言います。この犬、一部の人には有名のようです。例えば「はてな」のサービス「はてなダイアリー」だと、「しなもん」と書けばすかさず下線付きのリンクになるようですし、彼(オス)は「はてなダイアリー」に自分のブログを持っているようですし。また、今ひらがなで「しなもん」と検索を試したところ、件の犬が一番目に表示されました。
 一方、カタカナで「シナモン」と書いて検索をかければ、こんどはサンリオのキャラクターである「シナモン」が一番目に引っかかります。白いそれ、ご存知でしょうか?

 ところで、何でそんなことを書いているかというと、香港のおもちゃ屋兼文房具屋のような店(こちらではポピュラーな形態)にて、サンリオの「シナモン」に「玉桂狗」という名札がついているのを発見したからです。あれって、イヌだったんですか! てっきりサンリオが生み出した架空の生き物かと思っていました。なんか空を飛びそうじゃないですか、あの耳で。
 またサンリオのページによると男の子だそうです。これにもびっくりです。女の子向けのキャラクターだから女の子だろう、という思い込みがあったので。

 というわけで、ちょっとした会話案を提供してみたいと思います。
「しなもん(シナモン)って犬(狗)らしいよ、しかもオスだって!」
 これを使った結果、どんな反応が返ってくるかで「はてな」とサンリオの勢力分布がわかると思います。すいません、どうでもいい興味ですね。

 それにしても、香港の「狗」ってインパクトがあります。「犬」はほとんど目にすることがありません。「狗」だと私の場合印象がどうしても「羊頭狗肉」と直結してしまい、街行くイヌを見かけると、
 「こちらではあれは食べ物相当なのか」
 とあらぬ勘繰りをしてしまいます。

2006年4月3日

(JAPAN)日本への旅行

 先週、有給をとって家族四人で日本へと旅行しました。私たちは9ヶ月近く日本に帰っていなかったので、本当に久しぶり、という感じがしました。
 滞在中、些細なことですが「ああみんな日本人なんだ」と思わされる出来事がありました。


 例えば、ファーストフードの店に入ってオーダーしている時のことです。私はセットメニューを二つと単品で飲み物を一つ注文しました。セットメニューには飲み物が含まれているので、飲み物としては計三つになります。その際、「XXXセットとYYYセット」とセットを先に告げてから、「飲み物はAとBと、それから単品でCを下さい」と頼んだのです。
 すると店員さんは、
「単品で頼む場合はAが一番安いですから、セットにはBとCをつけておきますね」
 と提案してくれました。

 この出来事、私には当たり前には感じられなかったのです。
 香港だったら「XXXセットとYYYセット」と頼んだ時点で、
「飲み物は?」
 とすかさず尋ねられてしまい、セットの飲み物がAとBで確定してしまいます。店員はお客のオーダーの全体像を把握せずに、また検討する時間を十分与えずに、ひたすら端末機器の操作を優先するはずです。そのため今回のような非定型な処理(セットを先に言って、その後で飲み物を注文する)は受け入れられないような気がします。


 また別の店で、支払いの時にうっかり香港の50セントを出してしまったこともありました。色が赤褐色なので十円玉と勘違いしてしまったのです。
 その時の店員さんは、コインを取り上げ、
「これはお客さんの貴重なものではないのですか?」
 と言うのです。これにはびっくりしました……間違っていると指摘して機嫌を損ねることなく、客に知らせる高度な手法だと思います。これもなかなかできることではないような気がします。


 多分、私が「日本かぶれ」であり、また単に特異なケースが記憶に残っているに過ぎないのでしょう。けれど……日本にいると日本人の長所や美徳に気付きにくい、よく言われることですが、今なんとなくそれがわかったような感じです。

2006年3月23日

(HK)衝撃の告白

 香港・中国における間違った日本語の用例なんていうものは、ものすごくありふれているために普段気にも留めません。けれども、昨日香港・中国のボーダーで見たそれはなかなかにハイレベルなものだったので、ここに記しておくことにします。

 思い出すと多分そこでは、香港国際空港行きのバスか何かの斡旋をしていたのでしょう。色々な言語で案内が掲げられていました。その中には日本語もあって、でもそれは当然正しくなく、

「ホンコン国際空港でした。」

 と書かれていたのです。
 いや、もう、何というか、あなたがそう言うのなら、ホンコン国際空港だったんでしょう……かつては。でも、なぜ香港がカタカナなのか……。どんな文を自動翻訳にかけたんだか。
 謎が深まることはないですし、混迷を極めることもないですが。

2006年3月18日

(HK)暴走小巴

 ミニバス(小巴)というのは、二階建てバス(巴士)よりも小さい、どちらかというと「乗り合いタクシー」と呼ぶほうが適切な公共交通機関です。最近、このミニバスに様々な規制が導入されているようです。例えば、シートベルトが乗客席に装備されはじめました。今では締めていないのが役人だか警察だかにバレると罰金を払わなくてはいけません。

 加えて、速度を出しすぎる運転手を規制するためでしょう、巨大な速度表示板が乗客からよく見える位置に設置されはじめました。日本のバスについている料金表示板をイメージしてもらうといいと思います。香港のミニバスにはそんな大層なものはついておらず(料金体系がシンプルなため)、かわりにその位置に速度が表示されている、そんな感じです。
 ところで、表示板にはもうひとつ大事な機能があります。ミニバスが制限速度(80km/h)を超えると、耳障りな音を鳴らして運転手に警告するのです。

 「乗り合いタクシー」という印象を持っているのは、ミニバスがあまりにもラフな運行をしているからです。時刻表はあってないようなものです、というのも定員が決まっていて、満員になったらすぐ発車するので。結果、運行の合間の休み時間を長く取ろうと企てる運転手はものすごいスピードを出すことがあります。
 特に夜がひどいです。遅い時間になると満員になることはないので、一応一定の時間間隔で運行しています。けれども上に書いたような理由からか結構飛ばすのです。私の使う路線では100km/hになることもあります。警告音も鳴りっぱなしです。抑止効果もあったもんじゃないです。

 この前なんかは、並行した他のミニバスと競走していました(少なくとも私にはそう見えました)。接するように走ってたので隣のミニバスの速度表示板が窓越しに見えました……向こうが100km/hでこちらが110km/h近く、そのためこちらが徐々に引き離している……なんてことを、座席についている取っ手にしがみつき、考えていました。

2006年3月15日

(HK)電話会議

 今日は電話会議(カンファレンス・コール)をしました。香港に来て二年以上たちますが、その割にはほとんど参加したことはありません。私の場合こちらで閉じる仕事が多いからです。
 このカンファレンスコール、実際に面と向かって話す・聞くよりも難しいと思います……というのは、電話から聞こえてくる英語というものに私はいまだ慣れていないからです、と言い訳しておきます。そんなわけで、今日は何を言っているか聞き逃さないよう、受話器を握り締めながら1時間近く緊張状態を維持していました。

 途中、どうしても私が話さなくてはいけない局面がありました。知り尽くした、自分にとっては簡単な内容を、しかし一生懸命に英語にして説明しました。こうして言葉しか使えない状況に陥ってみると、普段はずいぶん甘えていたんだなあ、と改めて気づかされます。いつもだったら手持ちの資料を見せたり、身振り手振りで補ったりするので。

 今日は弊社と、韓国と日本の他社の三社でカンファレンス・コールをしていたのですが、まあ、それだけだったらわざわざこうして文章にして残しておこうとはしないのですが……。今日一番ショックだったのは、私が必死に英語で説明した後に日本の他社の人から、
「すいません、日本語でもう一度説明してもらえますか」
 と言われたことです。

 私の感覚では、決してその他社の日本人の英語は下手じゃなかったんです。まあ自分にとって都合のいい解釈も可能ですが(例えば彼らが業務上もっと詳しいところまで知りたがっていたとか)、でも普通に考えると、やっぱりそれって私の英語がだめだったってことなんだろうなあ、と思って、今日はちょっとへこんでいるのです。

2006年3月11日

(HK)やっぱり日本のテレビを見ています。

 今週のいつだったか、ふとテレビをつけるとバレーボールをやっていました。多分、月曜日のVリーグ(女子) ファイナル 第3戦 久光製薬 対 パイオニア だったのだろうと思います。
 結局女子スポーツが好きなんだ、って指摘されそうですが……まあ好きなんでしょう、きっと。久しぶりに見た日本代表以外のバレーボールでした。パイオニアのほうには名前の聞いたことのある選手が何人かいました。でも私は基本的に顔と名前の一致に手こずるほうなので、特に誰かのファンであったりすることはなく。いやわざわざ否定することでもないですが。

 試合は淡々と進んでいきました。サーブ権システムじゃないからそう感じたのだと思います……ってもうだいぶ前に変わったはずなのですが。NHKの落ち着いた放送もなかなかよかったです。観戦しながら「ここでブロード攻撃か!」などと思っていた私はやっぱり専門用語好きです。

 それにしても久光とパイオニア、今そういうところがバレーボールが強いんですね。何となく昔の記憶だと、ダイエーだとか日立だとかが強豪だったような気が。それからイトーヨーカドーも。ワイドショー的に話題になる選手がいたような。

 書くといいながら放っているカーリングの話題にも共通することですが、スポーツ、いやもっと一般的に、「何か」に夢中になって取り組んでいる若い人に、「道」がきちんとあればいいなあと改めて思いました。バレーボールの場合、実業団がどんどんつぶれていっているので、競技を続けている学生は将来をなかなか考えられないと思います。
 加えて、もしマスコミが取り上げるのなら、スポーツとして取り上げるべきだと思います。誰それがかわいい、なんていうのはすぐに忘れられますが、勝負というのは語り継がれる、日本人の「ストック」たりえるものだと思うので。

2006年2月21日

(HK)私はにわかカーリング観戦者、そして『ダブルテイクアウト』というような専門用語を脈絡もなく使いたがっている。

 この文を書いているのはちょうど日付が変わろうとするころで、つまり日本女子の最後の試合であるスイス戦までは後2時間ほどです。私の場合きっかけは、夜更かししていた土曜日のスウェーデン戦でした。深夜に「カナダ戦に劇的な勝利!」というNHKのハイライトを目にして、そのまま流れで見始めてしまったのです。はじめは「カーリングを生中継で見たことなんてないから……それに土曜日だし……ちょっとまあ……」という感じだったのですが、いやとにかくあれはすごい試合でした。解説の小林宏さんも「歴史的な試合」って言ってましたし。

 小林さんは日本女子チームを、いやそれ以前にカーリングという競技をこよなく愛しているのだろうと、解説を聞きながら私は感じることができました。丁寧で熱のこもった解説についての評判はあちこちで読むことができると思います。あえて私が指摘するとすれば、スウェーデン戦後半におけるストーンが滑っている最中の「間」です。はじめは「ここからカールしてきます」だとか、「やっぱりセンターガードに来ましたか」だとか言っていた小林さんが、無口になってしまったように感じました。解説者の役割を忘れて、ストーンを念じながら凝視している、そんなふうに想像しました。

 結局英国戦も見たので、週末に6時間以上もカーリング観戦に費やしたことになります。そして今日は会社からウェブで試合経過を追いかけていました。途中から再読み込みのボタンをひっきりなしに押し続けるほど、どきどきしながら応援していました。
 いやさすがにスイス戦は見ないことにします。けれどもここは日本の『週刊少年ジャンプ』のような展開を期待したいです。予選で最強の敵(スウェーデン)に僅差で負け、しかしながら勝ち上がって決勝で再度対戦し、勝つ。彼女たちを少年漫画の主人公に重ね合わせるというのは何か間違っているような気もしますが。

 もう一つ、彼女たちは幸せだと思うのです。オリンピックにはいろんな競技があって、4年間の成果を数十秒で出し終わってしまうものもあるのに対し、あれだけの最高の舞台で150分の試合を9回もできるというのは、やはり恵まれているといえるでしょう。この辺もうちょっと思うところがあるのですが、累積した睡眠不足を解消するために今日は寝ておきます。

2006年1月8日

(HK)年始に


「おや、リサ、こんなところで掃除機に座って。何かにお困りかい?」
「ねえ、マイク、ほらあそこ……キャビネットの下にほこりがたくさんたまっているのが見えるでしょう。全部吸い取ってしまいたいのだけど、このノズルが太すぎて入らないのよ」



 1月1日に掃除機を買い換えたところ、上のような局面で役立つであろう機能を見つけました。



「リサ、こんな時にこそ、この掃除機『スーパーC』(仮称)の力が発揮されるんだ。まあ、見てごらん……(1)ホースをボディの前面から外して、(2)後部のこの穴につなぎ替える……たったこの2ステップでOKさ。さあリサ、スイッチを入れてごらん」
「マイク、あまりにも早くてよく分からなかったわ。ええと、スイッチを入れるのね……何が起こるのかしら。え、あ、すごい! ノズルから風が吹き出しているわ! マイク、これって掃除機じゃなかったの?」
「リサ、この機能が普通の掃除機と『スーパーC』の違いなんだ。ノズルをキャビネットの下に近づけてみて」
「こうかしら。あっ、風がたまったごみを外へと吹き飛ばしている!」
「もうノズルを狭い隙間に差し込む必要はないんだ……『スーパーC』があれば、ね」
「そうね、マイク。あとは外に出てきたごみを片付けるだけね。まあ、何て簡単なのかしら!」


 以上、マニュアルに沿ってTV通販っぽく台詞回しを考えてみたのですが。
 でも、ええっと、掃除機から風が出てくる……それって排気ですよね……何となく嫌じゃないですか? それから、狭い隙間のごみを吹き飛ばしてしまったら二度手間になるような気がするのですけれども。本当に実際に使われるんでしょうか、その機能。


 こんな感じで書き綴っていきます。今年もよろしくお願いします。