2005年2月28日

(HK)『ラーメンさんぱち』が大変なことを。

 今週一週間、日本のお客さんに香港まで来てもらって、一緒に仕事をしていました。接待というほどではないのですが、普段の私の夕食よりは少しいいものを食べてもらうためにタクシーに乗って出かけたときのことです。タクシーの運ちゃんがかけていたラジオが、広東語の歌に代えてBoAのアルバムの曲を流しだしました。私は不必要にドキドキしてしまいました。結局、それについて会話で触れるということはなかったのですが。
 冷静に考えると、その局面で詳しい説明を加える必然性は全然なく、まして自分がそのアルバムを買ったなんて、話さなければいいだけのことで。

 お客さんの一人が、去年の4月に社会人になったばかりで、今回が生まれて初めての海外、とのことでした。彼を見ていると、自分のちょっと昔のことを思い出しました。私の場合、初めての会社をわずか一年ちょっとで辞めてしまってから、気付いたらこうして香港に流れてきてしまっています。


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 『ラーメン』が日本の食べ物であるというのは厳然とした事実です。香港にはいろいろな種類の麺があって、どれもおいしいです。けれどもいわゆる『ラーメン』とは違うのです。
 というわけで、『本場日本の』と名乗るラーメン屋が香港には存在し、地元の人々にも結構人気だったりします。

 札幌ラーメンの『ラーメンさんぱち』はその中でも新参で、去年の秋に尖沙咀(ちむさーちょい)に開店しました。同僚と一度だけ行ったことがあります。日本のと全く同じ、ベーシックな味噌ラーメンをおいしく頂きました。

 ところで、今日スーパーに行ったところ、その『さんぱち』の露骨なタイアップ商品――卡楽B(カルビー)の『さんぱち』味薯片(ポテトチップス)を発見したのです。日本のそれと(おそらく)違うのは『ポテトチップスを三袋買えば、店でのラーメンが一杯タダになる』と妙に現実的に太っ腹なところです。

 7.2HK$ x 3 = 21.6HK$ で45HK$のラーメンが食べられる。
 (計225gの薯片ももれなくついてきます)

 これって採算取れるんでしょうか?

2005年2月21日

(HK)ミラクルホイップと私

 スーパーに行ったら『雪吻・豪華包装版』が3セットで110ドルでした。旧正月明けに暴落したようです。でも3つもいらない。

 今の職場には結構日本人がいるのですが、日本のモノに対する態度というか執着がそれぞれ違っていて興味深いです。例えばある人の場合、割高だろうが何が何でも日本製じゃないと気が済まないようで、食材も日用品も全てジャスコで、衛星版の日本の新聞を購読し、おまけにドラマも海賊版VCDで一クール遅れですがきちんと視聴しているようです。
 また、買い物はスーパーよりももっとローカル色の強い「街市」で済ませるくせに、夜飲みに行くときは必ず日本食を選ぶ人もいます。

 私の場合は、それがまっとうな値段かどうかが判断基準です。観光地で割高の缶ジュースを買わない、それと同じような考え方です。例としては、現地生産のヤクルトを愛飲してます。また、無印良品の文房具はほとんど値段差がないので、これも愛用しています。

 ところで、マヨネーズを買いに行きました。当然日本製は割高なので選択肢から外れます。売り場には欧米メーカー――クラフトの製品がありました。聞いたことのあるブランドなので、安心してそれを買おうと思ったのですが。

 チューブに入っていて、キャップが赤くって、黄色っぽい粘性の流体なのですが、マヨネーズではなく『ミラクルホイップ』なる商品名がついているのです。大きいパッケージも、小さいパッケージも、カロリー控えめバージョンも、みんな『ミラクルホイップ』一族でした。『マヨネーズ』と名乗りを上げているのは売り場の隅に転がっていた小さな小瓶だけで。

 結局、買ってきて家で試してみたところ、日本で普通に使われているマヨネーズよりも甘みが少ない=酸っぱいような気がしました。これはこれで使えそうです。でも、中文名称『奇妙醤』はどうでしょう……。

2005年2月19日

(HK)『BEST OF SOUL』を聞いています。

 何となくTwinsのCDでも買おうと思っていたのです、はじめは。というのも、旧正月の日本への往復にキャセイパシフィックを使って、機内でずっと広東語の歌を聴いていたので。Twinsはこちらで非常に人気がある女性二人の「組合」なので、アルバムを買えばきっと知っている曲が入っているだろうと考えたのです。

 ところがCD屋に行ってみると、どうも今は端境期のようで、いくつか置いてあるもののうち、どれが新しいのか、どれがよく売れているのか、はっきりしない状態でした。そんな中から選ぶのはなあ……と迷っていたのですが、結局、店内で流れていたBoAの『BEST OF SOUL』を買うことに決めました。

 いや、実際それは奇妙でした。CD屋に入ると日本の女性の歌が流れているのですから。疎い私はその時点では誰だか分からなかったのですけれども、やがて上記アルバムが「Now Playing」と掲示されたコーナーにあるのを発見したのです。CDとDVDが一枚ずつ入っていて95香港ドルでした。ポスターをおまけにもらいました。

 95香港ドルは約1300円なので、えっ、と私は驚いたのです。パッケージをよく見ると『この商品は、専ら次の地域(台湾、香港、中国、韓国、シンガポール、タイ、マレーシア、フィリピンインドネシア国内のみ)での頒布用にライセンスされたものです。』と日本語と英語で書いてありました。まさかこれがamazon.co.jpで3510円もするとは! 本当に全く同一のものかどうか確認していませんが、日本語の歌詞の冊子もきちんとついています。加えて繁体字に訳してある冊子も入っていました。

「コンビニでお茶選んで」→「在便利商店選了罐茶」

なるほど。確かにこの文脈で「煎茶にしようか番茶にしようか、お茶の葉を選んでいる」というのは不自然ですし。

2005年2月15日

(HK)初出勤日は情人節

 一週間休みを取って、今日が初めての出勤日でした。始業からずっと、私はたまったメールの処理に没頭していました。一時間ぐらい過ぎたころでしょうか、ふと周りを見渡すと、同僚たちがそわそわしているのです。

 一人が席を立ちます。つられて別の一人も立ちます。立った人々はやがて列をなし、龍のごとく、ジェンカのごとく、下流域の川のように蛇行して机をかわしつつ、既婚者もしくはマネージャークラスの人間へと襲いかかるのです。

 とまあ、大げさに書きましたが、「お年玉(利是)をもらいに行きたいけれども、一人だとちょっと……」という心理が、彼らを群衆化させるのです。私のところにも一列に同僚たちが並んだので、正月的あいさつをしつつ利是を手渡しました。

 ところで、今日は情人節(バレンタインデー)です。都市日報の小さなコラムでもそれを話題にしていて。「『我愛{イ尓}』を他の言語ではどのように表現するか」というのがまとめてありました。

 英語は無難に『I love you』でした。一方日本語はというとローマ字で『Aishite Imasu』なのです。

 わざわざその言葉を使うことで「たどたどしさ+生真面目さ」を演出できるのだ、そしてその結果恋が成就するのだ……というところまで狙っていたのなら、なかなかやりますね、都市日報さん。

2005年2月9日

(JAPAN)休みの過ごし方

 みんなが寝静まった後、こうやってネットを見ています。

 まだ一ヶ月近くも先のことですが、娘はひな祭りがとても楽しみだそうです。曰く、自分は『おひなさま』なんだとか。その一言で親ばかモードに入ります。
 ところが、ほほえましくそんな話を聞いていたところ、娘は言い放つのです、
「パパは男の人なので、『ぼんぼり』!」
 と。
 お内裏さまじゃなくても構いませんから、人間扱いしてもらいたいです。
 

2005年2月6日

(HK)恭喜發財!(お金持ちになれますように)

 いよいよ来週は旧正月です。私は明日から約一週間日本に帰ります。

 やはり盛り上がりという点で、旧正月のほうが勝っています。勤めている会社でも赤い紙をぶら下げたり、小さいかんきつ類の鉢植えを飾ったり、年に一度のデコレーションをしています。
 大切な行事である、というのは香港の人々からも伝わってきます。曰く、正月には赤い服を身に着けなくてはいけないだ、下着もだぞ、この時期だけ特別に市がたつからそこに行って買ってこい、といった感じの、おそらく友達思いらしいアドバイスもくれます。

 さて、そんな一環で團年飯なる忘年会のようなものに参加してきました。職場のエライ人抜きで一緒に夕飯を食べたのです。それはまさに『飯』でした。全くお酒は出てこなく、丸テーブルを囲んで三時間ぐらいの間ひたすらお互いお茶を注ぎあいました。
 お店の壁には平面薄型のテレビがありました。みんなご飯を食べながら、弁髪の人が出てくる時代劇だとか安っぽい現代ドラマだとかをちらりちらりと見たりして、基本的にだらだらと過ごしました。日本の『飲み会』とは大きく違うスタイルです。
 でも、次第に分かってきたのです。彼ら彼女らは仲間と共有するああいう時間が好きなんです、きっと。お酒が入ると変に勢いが付いてしまい雰囲気が失われる、そう考えているのかもしれません。

 ところで、会社の面々がこのように日本人に旧正月風習を説くのには、おそらくある事情も関係しており――多分「お年玉(利是)を忘れるなよ」ということなのでしょう。
 というのも香港では新年の初めの出勤日に、上司から部下へと、もしくは、既婚者から未婚者へとお年玉を渡す習慣があるので。
 彼ら彼女らが本当にそれを楽しみにしていることが時々伺えて、渡すほうの立場の私は心の中でにやりとすることがあります――いや、悪い意味ではなくて。

2005年2月1日

(HK)全港愛牙運動からのお手紙

 やっぱり中国ですから、ここぞというところでは四字熟語で決めてきます。おもてには干支にちなんだらしく大きく口を開けたひよこが描かれていて、その周りにこう記されています。

迎春接福
笑口常開
牙肉健康
人見人愛

[適当な訳]
春よ来い。幸せ続け。
笑った口を、大きく開けて、
歯も歯肉も健康だ。
人に会って人を愛そう。

 とまあ、少しでも語呂がよくなる様に工夫してみましたが、やっぱり意味不明であることには変わりがありません……。もうお気づきかもしれませんが、「牙」=「歯」であり、これは『歯を大切にしましょう』という趣旨のスローガンのようです。

 このお手紙は香港衛生署から各戸に配布されていたようですが、驚かされたのは「愛牙光{石(喋-口)} 第二輯」なるCDがもれなくついてきたことです。それも、Vol. 2とは! 内容はTVのCMとか、情報番組を編集したものだとか、歯ブラシやフロスの使い方だとか、「ためになりそうだけれどもあえて見ないだろうな」と思うようなものばかりでしたが。

 ところで、こんな説明で満足できず「歯の健康についてもう少し知りたい!」と思われる方は、24小時口腔健康教育熱線: 2713 6344に電話されることをお勧めします。って、すいません、太字の単語が妙にチカラが入っているような気がして、単に書き写したかったのです。さすがはお役所! という感じがして。
 ちなみに「熱線」=「Hotline」です。この手のセンスも大好きです。