2006年7月31日

(TEXT)第二回萌理賞

 400字の小説を募集しているというので、『萌え』がよくわかっていないのですが思いつきで書いたところ、4倍以上の字数でやっと収束するというお粗末な結果になりました。当然応募はしていません。

 せっかくなので、何となく「はてな」に参加したくて確保しておいたアカウントに載せました。有効活用の一歩かもしれません。もしよろしければどうぞ。

平年を上回る暑さ

2006年7月27日

(HK)会社にAが来た。

 会社の、上司の上司の日本人が私の席の近くをたまたま通りかかって、
「どう?」
 と聞いてきました。非常に忙しい人なので、下々のことを細かく知っているわけではないのでしょう。それであいさつ代わりにこちらの近況を聞くのです。
 すぐに適当なアイテムが浮かんだので、私はそれを報告しようとしました。こういうときは間を空けずに答えるほうがいいと経験から学んでいます。でも、その時は状況が異なったのです。上司の上司は私の言葉を待たずに、
「今、Aと会ってきたんだけどさあ」
 と語りだしました。


 Aというのは、名前は伏せますが、名前の通ったテレビ業界の人でした。なので、
「ええっ!」
 と私は声に出して驚きました。Aはテレビ局の人と一緒にわざわざ弊社にやってきたそうです。
「それって取材か何かなんですか」
「いや、違うと思うよ」
 そんなやり取りの後、上司の上司は、
「見る?」
 と言いながら、名刺を見せてくれました。Aは多分フリーで仕事を引き受けているのでしょう、名刺には縦書きで名前と住所が書いてあるだけで、肩書きや会社名みたいなものはありませんでした。メールアドレスもなく、ものすごくシンプルでした。


 私と話している時、上司の上司は面倒ごとが片付いたような様子でした。が、名刺をわざわざ私に見せてくれたあたり、別な感情があったのかもしれません。そして私はというと、自分が会ったわけでもないのに、
「Aが今日会社に来たんだよ」
 と、家族に話してみたり、ここにこうやって書く始末です。


 Aはそれなりにお年を召していて、人気タレントとかアイドルとかわけではありません。Aの出ている番組は、存在は知っていますが見ないタイプのものですし。また家族なんかは、
「Aかあ。ふーん」
 という感じでした。
 けれども私はしっかり反応してしまったわけで、改めて有名人はすごいなあ、と思います。そしてそういう有名人に反応してしまう自分も、何というか、単純だなあ、と……いや、上司の上司が単純だなんて、そんなことは思っていませんから! Aが超ビッグなんですよ!

2006年7月21日

(HK)拉麺屋での悲しみ

 香港ではラーメン(拉麺)は日本の食べ物ということになっています。それは正しい認識でしょう。

 例えば日本の場合、ラーメンは中華っぽい屋号・構えの店で出されることも多く、そういう店だとチャーハンや天津飯といった中華料理っぽいものもメニューに載っていると思われます。まあ、ラーメン専門店のほうが圧倒的多数だぞ、という事実は置いておいて。
 一方香港では日本の食べ物という扱いですから、拉麺屋でそばが出てこようが天ぷら定食もあろうが何の不思議もないといった風情です。

 家族で近くの拉麺屋に行った時の話です。
 そこは上の説明がそのまま当てはまる店で、手軽に日本料理が食べられる店ということで愛用している日本人も多く、繁盛している様子です。香港の人にも好評のようです。
 店にいつもいるオーナーっぽい人は日本人ではないのですが、日本の漫画をおいたり、木彫りの熊を置いたり(札幌ラーメンを名乗っている建前上)と、雰囲気は日本的です。で、店内にはいつも日本の歌がかかっているのですが……。

 最近どうも趣味が悪いんです、その選曲。まさに『日本の歌』という感じでJ-popと呼ぶのを躊躇する古さで。かといって演歌でもなく。
 その時は尾崎→KAN→槇原と来たので、夫婦二人無口になってしまいました。私の場合、なぜか無性に、
「申し訳ありませんでした」
 と謝罪したくなりました。何に対してかは自分でもわかりませんでした。

2006年7月17日

(HK)はてな社長の渡米および私が香港にいることについて

 彼とは同じぐらいの歳なので、アメリカに行く! という気持ちはなんとなくわかるような気がします。「このままじゃいけない……」と感じたときに、それは何となく解に見えますし、「若いうちに行っておこう」というのも十分理由になると思うのです。少なくとも私はそうでした。


 そのニュースを色々と考えていたら、自分が香港で製造業に従事しているということに起因するやっかみが次々と浮かんできました。これはまずいです。
 そこでここで働く魅力を存分にアピールすることにします。


 でも改めて考えたのですが、取り立ててアピールする内容は思いつきませんでした。なんだか麻痺してしまっているのかもしれません。とりあえず、

 中国本土は怖そうだなあ、英語も通じないし。
 日本にいい仕事あるかなあ、消費税も上がるんでしょ?
 アメリカはイメージはいいけど、食事と移動手段がね。英語下手だし。

 と他の選択肢を消去すると、見事香港が残るのです。


 ほとんどの社員を日本において渡米するということから、彼は「会社が大きくなるためには、自分の成長が不可欠だ」と考えているように見えます。これを自己中心的と評するとネガティブになってしまいます。けれども私は、一エンジニアとして身を立てていきたいのだろうなあ、と共感します。ちょっとえらそうですが。

2006年7月9日

(HK)決勝戦の前ですが、ワールドカップの思い出を書いておきます。

 先週のいつだったか、深夜にやっている無名な映画をぼーっと見ていたら、外からウァーともギャーとも解釈できる叫び声が聞こえてきました。それも一ヶ所からではありませんでした。それで思い出したのです。急いでチャンネルを変えるとまさにイングランド対ポルトガルがPK戦になっていました。

 私はイングランドにもポルトガルにも肩入れせずに全くの第三者で見ていたつもりでしたが、それでも心拍数は上がったような感じで、平静ではいられませんでした。さすがに声は上げませんでしたが。
 ご近所さんは一回蹴るたびにもっと反応していました……ここは香港だからイングランドびいきが多いのかもしれません。いや、実は本物のイギリス人が住んでいるのかも……ともかくすごい熱の入りようでした。

 結局、最後にイングランドの負けが決まってしまいました。落胆の声が聞こえてきました。が、聞いているとどうもそれだけではなく歓喜の声もあります。ポルトガル関係者がいるのでしょうか。
 後で考えてみると、香港に海を挟んで隣接するマカオはポルトガル植民地だったので、旧宗主国対決だったんですね。特別な思い入れを持った人がいたのかもしれません。


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 スーパーで見かけたワールドカップ関連商品について記録しておくことにします。

 私はレジに並んでいました。日本のスーパーと同じように、レジの周りには電池だとかお菓子だとかが配置されています。買い忘れることのないように、というよりも商品をあからさまに見せ付けることで、需要を喚起していると思われます。香港の場合、その場所に風邪薬だとかゴム製品だとかが加わります。薬局の規制がないから風邪薬も売れるんですね。

 長い導入でしたが、ゴム製品なんです、その関連商品というのは! イングランド・サポーターとかブラジル・サポーターとかいう名称の、国旗がアレンジされた箱になっていて、でもゴム。装着すれば君もサポーターですか、誰かに見せるのですか、それともやっぱり自己満足ですか。そして君はそれを使い捨てにするというのですか! いやそれ以前に商品自体に普通のものと比べてどういう違いがあるのか、きちんと説明してもらいたいです。ええ私は買いませんでしたから。

2006年7月7日

(HK)ライチを食べる

 知り合いの奥様からもらったというライチが食卓にありました。何でもその奥様の旦那さんが中国から買ってきたものだそうです。
 ライチは今がシーズンです。道端にそれを扱う専門の露店ができたりします。けれども、特に深い理由はないのですが、こちらで買い求めたことはありません。生活に必要不可欠なものだけを揃える、そういう買い物を主にしているからかもしれません。

 ところで、日本にいるころはライチが割と好きだった、と思います。大学生だった昔の話ですが、あの時はよくファミレスに通っていて、どこだかの店のサラダバーでライチばっかり食べていました。サラダバーのその他の食べ物がおいしくなくて、結果そればかり何度も取っていたのかもしれません。当時(だけでなく今も)私は車を持っておらず、車持ちの彼女や友人に頼み込んで深夜に大学を抜け出して、郊外のバイパス沿いのファミレスに行ったのです。いい息抜きでとても楽しみにしていたことを思い出しました。

 食卓の上のボウルの中のライチは、けれども、日本で目にするものとは異なり色も大きさもまちまちでした。緑っぽい小さいのがあるあたり、農業として生産されているものではなく、ひょっとしたらその辺の木から適当にもぎ取ってきたものなのかも……なんて、よその旦那さんに失礼なことを想像してしまいました。で、味のほうはというと……一つ目はとてもおいしかったのですが、二つ目は熟れすぎていたのか変に甘く、三つ目からはどれもえぐく、舌にいやな後味が残るものでした。日本で売っている冷凍ライチのほうが均一なおいしさがある、という気がしました。

 全く予想外でした。そして、むきになって食べ続けたら家族に止められました。ちょっと悲しくなりましたが、昔のことなど回想できて少しそれに浸れたのでそれで良しとしました。
 後日談です。別の奥様からもらったライチは見かけこそ日本の冷凍物に劣りましたが、とてもおいしかったです。あ、なんだかライチをもらってばかりいます。今度は自分たちで買ってみます。

2006年7月4日

(HK)小さな旅

 昔お世話になった人が出張で深センの蛇口というところに滞在しているというので、訪問してきました。いつもは陸から中国に入るのですが、蛇口は突き出た半島なのでフェリーを利用しました。
 やっぱり船旅は好きです。ぼーっと何も考えずに遠くの島だとかすれ違う船だとかを眺めていました。約1時間という所要時間もちょうどいい感じでした。

 船旅は香港に観光で来るならば、私としてはぜひお薦めしたいイベントです。蛇口は中国本土なのでパスポートが要りましたが、香港内の島だったら不要です。値段も安いし、乗船時間も短くて手ごろです。ただ、
「行って何をするの?」
 と聞かれると、結局、
「もっとぼーっとできますよ」
 と答えることになるのですが。