2006年7月27日

(HK)会社にAが来た。

 会社の、上司の上司の日本人が私の席の近くをたまたま通りかかって、
「どう?」
 と聞いてきました。非常に忙しい人なので、下々のことを細かく知っているわけではないのでしょう。それであいさつ代わりにこちらの近況を聞くのです。
 すぐに適当なアイテムが浮かんだので、私はそれを報告しようとしました。こういうときは間を空けずに答えるほうがいいと経験から学んでいます。でも、その時は状況が異なったのです。上司の上司は私の言葉を待たずに、
「今、Aと会ってきたんだけどさあ」
 と語りだしました。


 Aというのは、名前は伏せますが、名前の通ったテレビ業界の人でした。なので、
「ええっ!」
 と私は声に出して驚きました。Aはテレビ局の人と一緒にわざわざ弊社にやってきたそうです。
「それって取材か何かなんですか」
「いや、違うと思うよ」
 そんなやり取りの後、上司の上司は、
「見る?」
 と言いながら、名刺を見せてくれました。Aは多分フリーで仕事を引き受けているのでしょう、名刺には縦書きで名前と住所が書いてあるだけで、肩書きや会社名みたいなものはありませんでした。メールアドレスもなく、ものすごくシンプルでした。


 私と話している時、上司の上司は面倒ごとが片付いたような様子でした。が、名刺をわざわざ私に見せてくれたあたり、別な感情があったのかもしれません。そして私はというと、自分が会ったわけでもないのに、
「Aが今日会社に来たんだよ」
 と、家族に話してみたり、ここにこうやって書く始末です。


 Aはそれなりにお年を召していて、人気タレントとかアイドルとかわけではありません。Aの出ている番組は、存在は知っていますが見ないタイプのものですし。また家族なんかは、
「Aかあ。ふーん」
 という感じでした。
 けれども私はしっかり反応してしまったわけで、改めて有名人はすごいなあ、と思います。そしてそういう有名人に反応してしまう自分も、何というか、単純だなあ、と……いや、上司の上司が単純だなんて、そんなことは思っていませんから! Aが超ビッグなんですよ!

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