2005年5月30日

(KOREA)読めない

なぜか私たちだけで食べた昨日の夕食と、今日、お客様が用意してくれたレストランが同じ店だったため、二日連続焼き肉を食べることになりました。結構大規模なミーティングだったので、今日は韓国人、中国人、日本人、アメリカ人が焼酎を飲みながらわめき散らすという、希有な夕食になりました。

今日尋ねた韓国企業はいわゆる有名なあの会社です。私たちは昼食時に社食に案内され、あまりの効率重視にびっくりしました。長いこと列に並んだかと思うと、自分でトレイをとる必要があり、それを持っていると食堂のおばちゃんが適宜いろいろ盛ってくれて、最後にはそれを長く、何人の人々が同時に座れるテーブルに持っていって食べる。ただ、そこにも長居できず、急かされるように席を立ち、食器を自分で下げ、うがいをするスペースまでしっかり用意されている、という用意周到ぶりです。

とまあ、酔っ払いが適当に報告しました。ハングルは読めません、まったく。

2005年5月29日

(KOREA)出張者日記

初めての韓国が、観光ではなく仕事であり、ソウルではなく地方都市で、なぜか今いる部屋は日本でいうところのラブホのような感じで(ベッドとかおふろとか)、一番驚くべきことはウェブの更新が備え付けのPCでできてしまうというところでした。日本語入力がまったく問題なくできます。きっと過去の日本人宿泊者の尽力があったのでしょう。

ラブホですから、ベッドから寝転がって見ても問題がないような巨大なテレビがあって、それをモニター代わりにしてこの文を打ってます。驚きをすぐに表現したほうがいいかな、と思って。

これから外を探検してこようと思います。

2005年5月23日

(HK)日曜日終了

 何とか『短編』を書いて投稿しました。来週の日曜は韓国に向かっていると思います。初めての隣国訪問です、香港からですが。
 今日はぼんやりとウェブを見すぎてしまい、随分と時間を無駄にしたような気がしています。倦怠感。

2005年5月21日

(HK)製造業ですから

 工場に勤めたことがある人ならご存知かと思うのですが、『5S』という運動があります。5つの活動――整理・整頓・清掃・清潔・躾――のローマ字が全部Sから始まっている、という思いっきりジャパニーズでこじ付け的な由来を持つそれは、生産性向上の手段です。
 いや、『5S』、大事だっていうことは十分分かっているんです。部品や書類を探すのに小一時間かかってしまったり、ぐちゃぐちゃで片付いていない机の上ではんだ付けしていてヤケドしかけたり、私も色々体験していますから。やろうという気持ちはあるんですけど……。何となく親の小言と一緒で、明らかに正しいがゆえに何となく素直に取り組めなかったりします。

 この『5S』を、今いる香港の会社でも推進することになりました。従業員が会議室に集められ、パワーポイントを使ってありがちに説明がなされました。広東語で話されたので私はすぐに部屋を出てしまったのですが、聞いた話だと、机の上に仕事に関係ないものを置くな、通路は安全のため開けておけ、といったお達しが出たそうです。そして最後に問題用紙が配られ、
「今日の内容が理解できているかをテストするので、後日回答して提出するように」
 と言われたそうです。
 それを聞いて、私はなんだかなあ、と思いました。大事なのは大目標『生産性向上』なのに、と。個別にあれこれ注文をつけたところで意識の変化がなければ『カイゼン』は活きないのにな、と。まじめに取り組んでいないのにえらそうですが。

 一つ、面白いな、と感じたことがあったので、ミーティングから帰ってきた同僚に尋ねてみました。
「5Sって、なんで5Sなの」
 と。
 あっけにとられている彼の前で、私はペンを使い、整理・整頓・清掃・清潔・修養と書き、Seiri、Seiton、Seisou、Seiketsu、Syuyouとローマ字を付記しながら日本語の発音で読んであげました。だから『5S』なんだよ、と。部屋を出る直前にスライドに映し出されたそれらの文字を私は覚えていたのです。日本語と中国語で同じ漢字なんだなあ、と驚いたので。
 ところが、広東語での発音は異なるので、もはやSではなく。また後で調べて判明したことですが、『躾』は日本で作られた漢字『国字』なので、中国でそのまま使うことは不可なのでした。

 ところで、すぐに逃げ出した私ですが、ペーパーテストだけはやらなければならないのだ、同僚はそう言うのです。彼はというと、どこからか仕入れてきた模範解答をひたすら写しています。五つの下線のところに「整理」・「整頓」……といった感じに。そして、私のほうに、
「お前はこの英語版をやれ」
 と言うのです。
 えっ、そんなこと、無理です! 日本語ならまだしも。
 仕方がないので彼が持っていた未記入の中国語版を奪い取り、質問の意味を理解しないまま機械的に、私も漢字を書き写し始めたのでした。
「こんなのは『5S』なんかじゃない」
 と心の中で思いながら。

2005年5月15日

(TEXT)お酒の強要はやめましょう (作者: (あ))


 付き合いで出席した合コンを抜け出したのは、それが心底つまらなかったか
らだ。それで一人で帰宅している。決してその場のオトコと消えたわけではな
い――まあ今更どう思われようと気にしないが。今日は流行りの店だから、自
分から行こうなんて考えないような店だから、きっと食べ物も美味しいのだろ
うとちょっと期待していた私がバカだった。




 会では結局いつものように酒に走っていた。私が次々グラスを空にしてどん
どんオーダーしているのを見て、正面の間抜け面は、
「ユカってお酒強いんだね」
 と言った。
 ええ、強いですよ、家で飲むときはビールをビンじゃなくて缶で買ってます
から。缶って言っても3リットルぐらいの、サーバーなんかに取り付けるやつ
なんですけど。知ってます?
 と、初対面の人に名前を呼び捨てにされた憤りを隠しつつまくし立ててやる
と、間抜け面は、
「サーバー? コンピューターじゃなくて? ほらうちの会社ITだからさ
あ」
 なんてぬかす。気の利いたジョークだと思っているのだろうか。業界用語だ
ぞと言わんばかりに『サーバー』を平坦なアクセントで発音しているし。
 じゃあITだからその趣味の悪い柄のシャツと、セカンドバッグが許される
んですか、と私はカラミたかったのだが、けれどもただの酔っ払いと違って私
は酔っていることを十二分に自覚していたので、かわりに適当に例の新興企業
の話など振ってみた。リトマス試験紙のようなものだ。

 間抜け面かつセカンドバッグは得意げに話し出す。
「ああやって、世間を騒がすのだけがあの社長の目的だとボクは思うな」
 なるほどそうですか。まあ飲んで下さい。彼にビールを差し出す。
「ボクは、ビールが得意じゃない人だから」
 じゃあ、何が飲める人ですか? あ、すいませーん、この焼酎下さい。ええ、
氷とお湯だけで。梅は絶対に持ってこないで下さいね。
「ユカって焼酎も飲むんだ……」
 いいから、新興企業の話を。
「ええと、あの社長って金持ちの典型って感じがして。金さえあれば何でも買
えるというのは、間違っているんじゃないかと……、あ、もう焼酎来たんだ…
…」
 セカンドバッグの話には全く新規性がなかった。まあ期待もしていなかった
が。
 えっ、私のために焼酎作ってくれるの? お湯割りでお願いします。
 おいっ、何で焼酎から先に入れるかなあ。本当にそれで工学部出てんの? 
ねえ比重って分かってる?
「ボクは理学部なんだ」
 まあ、それはどうでもいいからさあ。で、金持ちの社長が女をとっかえひっ
かえしてるのが羨ましいけどムカつく、要約するとそういうことだったっけ?
「いや、そうじゃないんだけど……。ユカってオトコっぽいなあ」
 今君はとても無礼なことを言っているんだけど、私はとても寛容で、かつこ
の焼酎が美味しいので許してあげよう。




 もう少しで駅に着くという時に、後ろから足音が聞こえた。いやな予感がす
る。振り向くとやっぱりセカンドバッグだった。なぜか昔からこのタイプのオ
トコからよく惚れられる。
「何で、ユカ帰っちゃったんだよ」
 息を切らしてセカンドバッグが言う。
 じゃあ、後ちょっとだけ付き合ってあげよう。
 私はすぐ横にあったコンビニに入った。缶ビール二本(小さいやつ)とプレ
ミアムなアイスクリームを買う。
 高校生みたいにコンビニの前でたむろしようか。ちょうどいい具合にベンチ
もあるし。はい、ビール。
 セカンドバッグは覚悟を決めたようで、黙って座りプルタブを起こし、ビー
ルを飲みだした。どうしたらそんなにチョビチョビと飲めるんだろう。ものす
ごくまずいものを飲んでいるように見える。途中途中でちらりちらりと私のほ
うを見る。
「何でユカはアイスクリーム食べようとしてるんだよ!」
 何でって、ほら、甘いものは別腹っていうじゃない。私、女の子だし。
 私は努めて上品に食べようとしているのだけれど、使い捨てのやわなスプー
ンはかちこちに凍ったアイスクリームにうまくささらなく難儀している。

2005年5月11日

(HK)本物かニセ物かは分かりませんが

 昼食のセットについてきたクリームスープには、様々な形をした固体が浮いていました。小麦粉でできている『あれ』だろうな、と思って口に運んだところ、刹那、ぱりぱりとそれらは砕け散り、なんと『おっとっと』だったのです! よくよく見てみると、形が鯨だったり蟹だったりイカだったり。シーフードのスープだからといって、そこまでやるのはいかがなものかと。ふやけきる直前の状態で提供されたあたり、シェフの腕の確かさが伺えます、と言うと褒め過ぎを通り越して嫌味になりますか。

 『あれ』=クルトン ←思い出すのに時間がかかりました。

2005年5月10日

(HK)GW明けですか。

 一週間以上の間に溜まった要求を、少々の妬みと一緒に日本の取引先に送りつけてやりました。こちらは休みなどなく働き続けていたので。

 今日は横殴りのものすごい雨が、昼休みの間(しかも後半だけ)降りました。おかけで食事の後会社に戻るときに、服の半分が濡れてしまいました。一応南の島ですから。夏が来たなあという感じです。

 ミニバスに乗っていました。その時はちょうど信号待ちをしていたのですが、青になったとたん、横の車がすごい勢いで加速して前へと割り込んできたのです。ずいぶん乱暴だなあ、と思って観察していると、その車が『若葉マーク』をつけていることに気付きました。
 一瞬、初心者のくせにずいぶん派手なドライビング・テクニックじゃないですか、とも考えたのですが……あれ、ここは香港ですよ。
 あんなものまで車を彩るファッションと認識されているんですね。驚きです。

 そんなこんなですが、一週間、がんばりましょう。

2005年5月4日

(HK)緑色悪魔

 郵便受けを覗くと、緑色の封筒が入っていました。もうなじみになった香港税務局からのお知らせです。決してうれしいものではないですが、放っておくわけにもいかないのでしぶしぶ封を開けました。

 税務局からは今年何度も便りを受け取りました。初めは所得の申告用紙、それから催促、訂正、最後に請求書が来ました。当初の納税額は配偶者と子女の控除が抜け落ちていて、あまりの高さにびっくりしました。文句を言ったらきちんと算出され、結局五分の一の金額になりました。ちょうど一ヶ月前ぐらい前のことです。その納期は確か来月上旬までなので、しばらくは払わずにいても大丈夫だろうと現在高をくくっています。

 その税務局様がこの私に今更何の用ですか、とふてぶてしく今日の文面を追いかけると、またしても所得の申告用紙でした。間違いではなくて、今度は去年の4月から今年の3月までの分を納めろよ、と。そういえばようやく手続きを済ませた上のは、一昨年の4月からの分でした。

 ずるずるとしていた私が悪いだけなのです。今日受け取ったのもしっかり払わなければなりません、義務ですから。でも……あえて言わせてもらうならば……中国語の用紙を送りつけるのはやめてもらえませんか……いえ、あの、一昨年の分はきちんと英語だったのに、なぜ今回の分は中国語に戻ったのか、と問いたいのです。
 役所というものは、全く謎が多いです。

2005年5月2日

(HK)そうだ、麻雀のことを

 先週、無人島までバーベキューに行ったとき、麻雀をしたのでした。

 香港の麻雀は日本のそれとはいくつか違います。
 まず、牌がでかいです。牌を捨てる場所は決まってません。みんな思い思いの場所に放ります。そのためフリテンがありません。それだけではなく、リーチもありません。

 香港のガイドブックを読んで一応その程度の予備知識があったので、見知った麻雀、という軽い気持ちで参加しました。卓には私ともう一人男性、そして二人の女性が座りました。香港では女の人も普通に麻雀をするので。でも、この女性50%という割合、私にとっては人生で初めての体験です。
 期待を胸にじゃらじゃらと牌をかき混ぜます。並べます。そして積もうとしました……が、あまりの牌のでかさに私はぼろぼろとこぼしてしまったのです。次々と牌があらわになります――いきなりの失態です。香港女性たちから「だらしないなあ」という目で見られてしまいました。

 気を取り直してゲームに参加します。どういう風に組み立てるかほぼ一緒なので、いそいそと牌を並べ替え、新たな牌を引いてきたり余分な牌を捨てたり、いつものように楽しくプレイしました。けれども、彼らのスピードがやけに速いのです。他人の捨牌なんか全然見ておらず、また序盤からずいぶんと鳴きます。そうこうしているうちに、私の捨牌でさっくりと混一色を上がられてしまいました。えっ、それを集めていたんですか……という感じでした。だって捨牌がぐちゃぐちゃだから予想つかないよ……という言い訳を私はぐっと飲み込み。

 一度振り込んでしまってからは、戦後日本人のお家芸――専守防衛でがんばってみたのですが、なにしろ彼ら彼女らは絶対にオリないので、戦況は一向に好転しませんでした。結局彼女たちの「日本人だらしないなあ」というイメージを、私は最後まで払拭することができませんでした。

 ……いや、実はですね、あのときの麻雀は高度な戦略に基づき、彼女たちにアガってもらっていたんです。いわば接待、みたいな。
 ……なんて強がってみても、一抹の悔しさが残ります。

2005年5月1日

(HK)ええ、ゴールデンウィークはないです。

 最近の飲み会においては、一次会でさっくりと帰ってくることが多かったのですが、昨日は久しぶりに二次会まで行きました。送別会なので名残惜しくて。
 こちらで二次会といえば「片言の日本語が話せる女の人が横に座ってくれるカラオケ」です。たとえ行くメンバーの中に日本人女性がいようとも、その方針に揺るぎはなく。

 私は接客する女性と話したところで盛り上がったりできないつまらない人間なので、周りの人が楽しんでいるのを見て楽しむ、というのがその場のやり過ごし方です。
 大体、
「お仕事何ですか」
 と聞かれてどう答えたらいいものやら。医者とか銀行員とかパイロットとか、そういう、容易に想像できるものじゃないし。今思いついたのですが、そんな時は思いっきり嘘を演じるのがいいのかも。

 ところで、昨日タクシーに乗ったのですが、その時の運転手さんはウォンさんでした。漢字だと黄さん、フルネームだと黄徳光さんでした。おいおい、黄色の徳光ですか!
 それってやっぱり、24時間テレビのときの『サライ』を歌って大泣きしている徳光ですよね……と一人でつぼに入っていました。
 もしくは他に赤徳光、青徳光、黒徳光、桃徳光がいて、黄さんはありがちに、
「カレーの早食いが得意」
 だったりするのかなあ、と。合体して地球と長嶋茂雄を守るために戦ったり。

 「黄」以外の名字は多分存在しないか、稀なので、少し残念です。
 この妄想、同乗していたオヤジたちに説明するのがだるかったので、結局何も報告しませんでした。