2007年4月30日

(HK)ゴールデンウィークお疲れ様です。

「赤信号の約束があるから、青信号の自由がある」というような内容の標語を深センで目撃しました。いや、目撃したことを思い出しました。

 今まで生きていて赤信号が約束だと思ったことはありません。あ、でも、約束=ルールのような感触なのでしょうか、中国語では。

 だとすると、問題なのは青信号で……「経済発展著しい中国において青信号を無邪気に『自由』と解釈するあたり、抱えている歪みが端的にあらわれているといえるのではないか」……試しに深く考えもせずに報道っぽい文章を作文してみました。が、だめっすね。まだまだレベルが低い。

 今週は日本も中国も大型連休ですが、香港は違います。明日一日しか休みがないのです。

2007年4月28日

(HK)606号と610号に名前が

 四川から香港まで飛行機に乗ってやってきた2匹にレレとインインという名前がついたそうです。漢字で書くと楽楽(オス・かつての606号)と盈盈(メス・かつての610号)だそうです。晴れて番号から卒業できました。

 この中国政府からの贈り物については前にこちらで少し書きました。しかし、なぜパンダに繰り返し系の名前をつけるのかという疑問が残ります。よっぽど香港の人に聞こうと思いましたが、怪訝な顔をされそうだったので断念しました。

 盈というのは見たことがない字だったので調べてみました。漢和辞典には『エイ・みちる』という読みが書いてありました。加えて『盈盈一水(えいえいいっすい)』なる四字熟語があり、『思い合う人と直接会うことのできない例え』だそうです。『大きな川に隔てられて、お互いに姿をみることしか出来ないでいる両岸の男女=彦星と織姫』という解説もありました。切なさに何か「くうっ」と来るものがあります。ちなみにこの語は漢字検定準一級レベルとのこと。盈という字が女性の流れるような美しさを意味している、と私は理解しました。
 自分の知らない、深い知識の世界を垣間見ました。

2007年4月15日

(HK)中国で働くということについて


 現在香港4年目の私から見ると、こういうニュースは本当に心が痛みます。中国での経験を生かした就職なんて、私の知っている範囲では聞いたことがありません。「中国の経験がある」=「劣悪環境でこき使っても文句を言わない耐性をもつ」と都合よく解釈されるだけです。こちらだったら実例が色々あります。

 例えば、まあ運良く中国の日系企業に就職できたとしましょう。張り切って仕事をやろうとする……のはいいのですが、自分の上司が日本人で、彼から中国人とのインターフェースの役割しか与えられなかったら、どうでしょうか。
 もっとネガティブな情報を付け加えると、上司は日本からの駐在員で住居・医療・教育がフルサポートなのに対し、現地採用はそれらが皆無ということも良く聞く話です。仕事の上でも、駐在員が無能なのにも関わらずおいしいところを全部取っていく、というのも普通にあるでしょう。舞台が海外に変わっただけで、よくあるドラマみたいな話です。

 格差なんてない方がいい、と思うのは当然です。でも私はこちらに来て働いているうちに、あからさまな格差を目の当たりにしました。まずはこちらの人間と日本人の格差、そして日本人内の格差。好きで香港に来た以上、そういった格差は「そこに確かにあるもの」と受け入れざるを得ませんでした。その意味で自分は善人ではないと思います。むしろ開き直って、私は格差を維持する体制に回っているのでしょう、あまり心地よい想像ではないですが。
 「実力主義」というきれいごとでこういった事実は隠蔽されがちになっています。もし仕事の上での機会が等しく与えられたならば「実力主義」も悪くはないのかもしれませんが、現状はそうではないことも多いと思います。

 私の場合、香港にいるのは色々検討した結果であって、「香港にいること」が目的ではありません。なので、新卒で普通の会社に就職したときのことを振り返ると、大変なことになってしまったなあ、とつくづく思います。そしてその後、こういうのもありかなあ、時代が時代だし……と現状を肯定するのが常です。
 さあ来週もまあぼちぼち働きますよ。

2007年4月12日

(HK)初めてアダルトビデオを買ったときのこと

 自分があまりにも滑稽だったので、主に自分のために書いておきます。どこで買ったかとか、いくらだったかとか、買い物に役立つ情報は記しません。内容について詳しく記すこともしません。読んでいて性的に不快にならないように努めます。

 香港の電気街を初めて訪れたときから、アダルトな商品を扱う店の存在に気づいていました。日本製のAVを売っている店では、たいてい日本語で書かれた女優のポスターが壁に貼ってあって、不思議な気持ちになったものです。でも当時はお店の人が怖そうで、日本人が買いにきたとばれると大変なことになりそうで、私は中に入らずに横目で見て通り過ぎていました。
 でも最近は「客なんだからそんなにひどい目にあうことはないだろう」とふてぶてしく考えるようになりました。そこで、何も買わずに出ることが許されなかった場合の損害額について検討した後に、ためしに店に入ってみることにしました。結局私が行ったところでは出入りは自由で、買わずに出てもとがめられませんでしたが。

 そして二つの店から計三枚のディスクを買いました。全て日本のものです。ディスクはどれも透明なビニール封筒に二つ折りの紙と一緒に入っていました。紙はもともとのパッケージのカラーコピーのようでした。ディスクは折られた紙の間にあって、一応保護されています。プラスチックケースのような余計なものはないのです。
 店に入って分かったことがあります。日本ではアダルトビデオには規制があるのですが、香港の店で売られているものもやはり日本の規制がかかったものでした。残念でしたが、しかし色々探して回るうちに、ついに私はあるビデオに出会いました……そのカラーコピーには「規制なし」という内容の文言があったのです。当然日本語でです。ディスクは目立たないところに置いてあり、中国語のポップはついていませんでした。
 正直に言うと、見つけたとき私は猛烈に「出し抜いてやった」感がしました。私は日本人だから、日本語が読めるから、この店のたくさんの商品の中から「規制なし」を見つけることができたのだ、と。
 うきうきしながら私は家に帰りました。そして三枚のディスクを納戸がわりに使っている雑然とした部屋の棚に隠しました。今度夜中にこっそり見ようと考えたのです。

 さて次の日、私は仕事を終えて家に戻り、ふと気になったので納戸に向かいました。すると、何とそこは突然整理整頓されていたのです! 恐る恐る棚に向かいディスクを確認します。それらは同じ場所にありましたが、周りに置かれているものが全然違いました……。そして私が問う前に妻は、
「何か変なのあったよ」
 とほのめかす始末。思い立って掃除をしたそうです、よりによって隠した次の日に。
 しかしめげてはいられなく、私はその深夜、それらを鑑賞してしまうことにしました。カラーコピーと同じデザインのディスクをデッキに突っ込みます。早送りのボタンで著作権の警告をすっ飛ばします。やがて画面には突然中国語のタイトルが。そして出てくるのは、明らかに日本人ではない女性。思わずカラーコピーを手に取ります。日本人女優が出演している「規制なし」品なはずですが……これは店の手違いでしょうか。文句を言えば取り替えてもらえるのでしょうか……。彼女は80年代のアイドルのような服装をして自転車に乗っています。そのシーンが延々と続きます。
 私はよろよろとデッキに手を伸ばし、ディスクを取り出しました。そしてついに発見しました、ディスクにはシールが貼ってあったのです。やけになってそれを乱暴にはがすと、先ほど見た中国語のタイトルが現れました。それだけではなく、ディスクはDVDですらありませんでした。VCD(Video CD)でした……。欲深な日本人の私はまんまとだまされてしまったのです。もう苦情をいうパワーなど残っていません。
 一応報告しますと、三枚中一枚だけは規制ありのごく普通のアダルトビデオでした。それを売っていた店は大丈夫でしたが、もう一つの店で私は二枚ニセモノをつかまされたのです。