2004年12月29日

(HK)『功夫』(広東語では[ごんふー]という発音らしい)の感想

 会社のローカルの同僚に連れられて念願の『功夫』を見てきました。やっぱり英語字幕だけで理解できるようなストーリーでした。何を書いてもネタばれになりそうですが、極力そうならないよう、またそうなっても大丈夫なよう、下の方に箇条書きで記します。
 皆、周星馳の顔を見るだけで期待が高まるようで、彼の登場のたびにくすくすという爆笑の予兆が観客の間に広まっていました。

 私にとって香港の映画館に行くのは今回が初めてでした。訪れたのはショッピングセンターの中にある、わりと新しめのところです。椅子の作りも上質でした。今日はそこでは3つの部屋が『功夫』に割り当てられていて、19時ぐらいからは20分おきに上映時間となっていました。ちょっとした田舎駅よりも高密度のタイムテーブルです。
 それから、座席は全席指定であり、今日の私たちの分はあらかじめインターネットで予約したそうです。『功夫』のような人気作品だと、そうでもしないと見れないとのことで。
 料金は40HK$(500円強)と破格の安さでした。若い男女のための手軽な娯楽としての役割を、いまだにしっかり担っているようです。

  • 典型的な香港映画です。ストーリーは後付けで。
  • 『少林サッカー』は必修です。
  • 『少林サッカー』の『2』が想像できないように、『功夫』の『2』もないでしょう、あれだけやったら。
  • 天下一武道会……。

2004年12月27日

(HK)基本的に今週も平常どおりの営業を……。

 今日、近くのショッピングセンターでは、道路を封鎖して坂道をこしらえ、そして、どこから持ってきたのか本物なのかどうかわからない雪みたいなものをその上に積もらせ、ちびっ子たちにそりすべりを体験させていました。
 やはり南に位置するだけあって、雪に対する憧れは強いようです。わざわざ香港でもこもこのジャンパーみたいなものを購入して、冬に寒い地方(北海道だとか)に旅行するのが、少しお金を持っている人の楽しみのようです。

 にわか周星馳ファンの私ですが、にわかたる所以は最近やっと『少林サッカー』を見たばかり、だからなのですが、ええっと、日本でも『功夫』、正月から公開ですか。早いですね。ということは、今週見ておかないと日本の皆様に先んじることができないわけですか。
 ところで、日本語題名の『カンフーハッスル』ってあまりな名前だと私は思います。いや、『Kung Fu Hustle』が英語題名ですけれども、『カンフー』ぐらいは漢字のほうがいいんじゃないですか? 標準的な読みじゃないから却下されたんでしょうか。

 今週は予定だけですでに2回飲みが入っています。どういう飲みになるか、ちょっと不安です。

2004年12月26日

(HK)恭祝聖誕! その2

 それなりに静かだと思っている今の住まいですが、今夜はどこかの家でカラオケ・パーティーをやっていたようで、あまり上手ではない歌がしばらくの間、聞こえてきました。
 それもクリスマスとは関係がないような気がします。

2004年12月24日

(HK)恭祝聖誕!

 それなりに静かだと思っている今の住まいですが、夜22時、突然かなりの音量でクリスマス・メドレーが聞こえてきました。恐る恐る窓のカーテンを開け階下をのぞくと、30人ほどが揃いの衣装で集結して合唱しているではありませんか!

 香港ではこの時期、道行くバスの運転席上部の行き先表示が10秒のうち2秒ほどの割合で『恭祝聖誕』というメッセージに変化しています。去年は『歓楽聖誕』でしたから、今年のおごそか度はちょっとアップしています。

 何はともあれ、よいクリスマスを!


(HK)都市日報より (Special edition)

 ええ、当然今日も祝日なんかではありませんでした。ので、きちんと通勤途中に都市日報を確保できました。クリスマスにちなんだ記事の中でも、濃い香港っぽさを含んだものを紹介します。




香港発・都市日報12月23日付
為営造聖誕気分、不少商場都会聘請聖誕老人坐陣。然而、中外聖誕老人薪金相距達数倍、外籍聖誕老人日薪可高達5000元、而本地的時薪約為百余元、

 クリスマスの雰囲気を盛り上げようと、多くのショッピングセンターではサンタクロースを座らせるという演出を行っています。しかし、同じようにサンタクロースに扮した場合でも、中国人と外国人とで賃金の差が数倍にも達しています。

 外国人の場合日給として5000HKドルも可能ですが、中国人の場合は時給で100HKドル程度です。




 私も一応外国人ですが。





香港発・都市日報12月23日付
今年的聖誕願望(今年のクリスマスの願いは何ですか?)

資料来源

民主党 聖誕消費問巻調査(香港民主党 クリスマス消費アンケート調査より)


升職・加人工 18.2% (会社で昇進しますように)
香港経済好転 31.9% (香港の景気がよくなりますように)
来年不要加税 10.1% (来年税金が上がりませんように)
買楼     5.3%  (マイホームがもてますように)
其他     23.4% (その他)
没有特別願望 11.0% (願い事なんかないよ)



 結局どこまでいってもお金なんですね……。回答が偏っている上に、最後のが悲しみを誘います。いや、そもそも願い事をする行事なんでしょうか、クリスマスって。

2004年12月22日

(HK)人並みな話題

 今日は冬至でした。香港では、そういった特別な日にはとりあえず大人数で食事をする習慣があります。例えば今日の場合、いつもより昼休みを長く設定しているオフィスもありました。また、同僚たちもわりと早く家へと帰っていきました。

 そろそろ泣く子も黙るビックイベント、クリスマスがやってきます。ここ香港でも、あちこちのお店で赤い帽子をかぶらされた従業員を発見することができます。

 ところで今日の疑問は、「当地ではグリーンスリーブス(イギリス民謡)が結構流れているけれども、あれってクリスマスの歌なの?」です。

 検索してみた結果、どうやらそのとおりのようです。さすが元植民地です。でもあんなに物悲しいと、商魂たくましい人々は盛り上がれないんじゃないかと思うのですが。

2004年12月21日

(TEXT)ちょっとした不安

 今日は忙しく、家に着くのが遅くなってしまいました。
 手元には『短編』用の1000字があります。もうちょっと寝かせたいなあ、と思って投稿していないのですが、ぎりぎりまで引っ張っていると出せなくなってしまいそうで不安です。特に、今いるのは香港なので時差1時間を勘案しなければなりません。

 自分のために書いておきます。
 水曜日、23時厳守。

2004年12月19日

(HK)偉くなるということ

 土曜日はお昼に会社に行きました。最寄の駅の時点で12時を回っていたので、これはみんなと食べるのは無理だろうなあ、と考えて吉野屋でテイクアウトすることにしました。
 焼き鳥丼(細)とキムチとミソ・スープが入ったビニール袋をぶら下げて店から出ると、ちょうど会社の最高人民たちが外人さんと一緒に歩いているところにばったり出くわしてしまいました。後で聞くと彼らは上海料理の店に行ったとのことです。
 私がよく知る最高人民はとても忙しい人で、一週間ぶりに海外出張から帰ってきたと思えば、今度は香港に連日客を迎えてミーティングをしていました。金曜日まで来ていたのは日本人だったので、昼は飲茶か、その上海料理の店に行き、夜は日本料理屋とカラオケだったでしょう、きっと。
 どの店もおいしい料理を提供しているのですが、やはりいい店だけあってどこも料理に重量感があります。たまには軽いものを食べたいと思うこともあるのでしょうが、そんなのだと接待にならないわけで。

 そうか、偉くなるというのは自由に食事ができなくなるということなのか、と考えさせられました。

(HK)大雄は{口多}、{口多}{口拉}A夢ーと泣きつくのだろうか?

 先日『ドラえもんとブレークスルー『中国語会話』』なるメールマガジンを発見したのですが、それは、中国語版のドラえもんを読むことを通して中国語をブラッシュアップしよう、というものでした。確かに漫画だと絵を見るだけで理解できることもあるでしょうし、外国語を学ぶに当たって教材が面白いというのもポイント高し、でしょう。

 ところで今日もいつものようにミニバスに乗っていたところ、斜め前の女の子がドラえもんの本を持っていました。よく観察してみると『英語版のドラえもんを読むことを通して英語をブラッシュアップしよう』という趣旨でした、広東語で。

 これはとんでもないものを見つけてしまいました。その本を読めば英語と広東語が同時にものになりそうです。ブレークスルー以上の効果が期待できます。

2004年12月18日

(HK)仙跡岩に行く

 私は昼も夜もわりと決まった店で食べています。それで不満を持ったりしないタイプの人間なのですが、時折、違う店も開拓しないといけないなあ、という自己変革の気持ちが強くなります。で、初めて仙跡岩に行ってきました。
 仙跡岩は足跡のマークでおなじみの、チェーン展開している甘味処です。検索でも随分引っかかるようです。通勤の途中にも店はあり存在は認識していたのですが今まで入ったことはありませんでした。「あの店には軽食もあるんだよ」と誰かが語っていたのを今夜はふと思い出し、挑戦してみたのです。

 席に座りメニューを見て、米粉の炒麺をオーダーしました。
 すると、お店の人に、
「それだけか?」
 と、念を押されるのです。とりあえず頷きます。でも周りを見渡してみると食事をしている人など皆無で、甘い飲み物を飲みながら語り合う男女が目立ちます。ちょっと気まずくなってきました。
 案の定、なかなか食べ物は来ません。やがて私は、どういう表現ならばこの状況を理解してもらえるだろうか、と思考に沈み、結果、「男一人でミスドに行き、ドーナツを注文せずに飲茶の麺だけを食べている状況」なる比喩を思いつきました。ええ、夜9時にまさしくそういう状態でした……。

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 店の兄ちゃんがコンポみたいなものを操作すると、なんだか聞き覚えのない日本語の男の人の歌が流れ出しました。やがて『はーぶらしー』と聞こえてきたので桜庭さんだと分かったのですが、歌手名以外の諸々の疑問は解消せず。そして桜庭さんの次には香港の誇るアイドルTwinsが歌いだしたので、疑問は増える一方でした。

2004年12月16日

(HK)今日の都市日報より

 ありがちなタイトルでありがちに綴ります。

 ちょっと前に、『ドラえもん地鐵紀念車票』なる地下鉄(MTR)の記念キップの広告を見かけたのですが、まあ、びっくりはしましたけれども、当地のドラえもん知名度を思えば納得の範囲でした。ドラえもん以外はみんなチャイニーズ・ネームを持っているので、彼らには日本式の名前があるということを知らない香港の人もいるはずです。

 ところが本日、また記念キップの広告が都市日報に載りました。今度はもっと日本っぽく、というか日本そのまんまです。『機場快綫』(エアポート・エキスプレス)という香港空港(機場)と香港駅を結ぶ鉄道があるのですが、そこの記念キップの背景に日本の観光地が描かれているのです。キップは以下の三種です。

  1. 蔵王の樹氷と、機場快綫(電車の写真)
  2. 桜と姫路城と、機場快綫(電車の写真)
  3. 富良野の花畑と、機場快綫(電車の写真)


 ここまで来ると、もはや何を記念しているのだか訳分からなくなってきます。
 あー、でも、こういうことが許されるというのが香港のうれしいところかもしれません。中国本土だったら、絶対こういうことはありえないはずで。しみじみと友好ということを考えてみたり。

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 ドラえもんの登場人物の中国語名を検索して調べてみたら、なんともすごいタイトル??ドラえもんとブレークスルー『中国語会話』??なるメールマガジンを見つけました。ブレークスルーって……。
 で、そのページによるとのび太は『大雄』だそうです。イメージに合わなすぎです。

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 結局紅灣半島は壊さないことにしたそうです。やっぱり香港はころころ変わるところです。
 久しぶりの日本芸能ニュースは、『菜菜子』さんと『急症群英3』についてでした。『菜菜子』さんの記事は節目節目でしっかり掲載されているような気がします。

2004年12月13日

(TEXT)鴛鴦引き続き

 単純にある種の鳥を指す言葉であったはずの『おしどり=鴛鴦』が、他にどのような意味合いを獲得しているかを記します。いや、そこまで大層なものではないのですが。
 まず、次の引用をどうぞ。
昨今のご時世、おしどり夫婦なるものが、存在するのだろうか?離婚率は年々上昇し、およそ2分に1組の割合で離婚しているというのが実情のようである。もちろんその要因はけっして簡単なものではないに違いない。現代社会の抱えたもろもろの問題などが反映されているのは、間違いないだろう。自らを省みてどうだろうか?少なくてもおしどり夫婦というには、おこがましい限りである。
 『おしどり夫婦』を検索したときに、この文章に出会ってびっくりしました。というのも、キッズgooの動物豆知識の中でのことだったので。オシドリについての記事の書き出しなのですが、全然子供向けじゃないと感じました。試しにキッズgooの特殊機能で「ふりがなの設定;ふりがなあり」にして上の文章を再読してみたのですが、やはり場違いな印象はぬぐえませんでした。

 中国語では『鴛鴦』が広く『男女』の意味合いで使われているようです。上のキッズgoo情報によると、鴛(えん)がオス、鴦(おう)がメスのおしどりのことだとか。また、この前『鴛鴦浴』なる言葉も発見しました。男女が仲良く一緒にお風呂に入ることだそうです。『おしどり夫婦』の『おしどり』よりアダルトな感じがします。

 昨日の『凍鴛鴦』ですが、最近のお客さんのために解説しますと、これは香港名物ともいわれるコーヒーと紅茶をブレンドした飲み物です。『凍』というのは冷たい、つまり『アイスのコーヒー紅茶ブレンド』という意味になります。

 ところで一度『鴛鴦浴』という言葉を知ってしまうと、この『鴛鴦』という飲み物に対して妄想が膨らみます。コーヒーと紅茶のどちらかが男で、もう片方が女なんです、きっと。そして、あれは男女が渾然一体となった飲み物だと。
 こんなトリビアというかこじ付けを使う相手も局面もなさそうですが。

(HK)携帯ゲーム機

 この前香港の地下鉄(MTR)でニンテンドーDSを操っている人を見かけました。香港ではまだ売っていないので、何か普通じゃない方法で彼は入手したのだと思われます。同僚と二人で日本語で、
「あれってニンテンドーDSじゃない?」
「まだ香港では発売してないはずだけど」
「結構大きいなあ」
 とか話しても全然反応がなかったので、日本人ではないと思います。

 私は普段ゲームをしないほうで、例えばドラクエ8が出たと聞いても「面白そうだけど、時間がかかりそうだし」という理由であまり興味もわきません。
 がしかし、今日ネットをさまよっていたら、最近唯一プレイしているゲームである「逆転裁判」の新しいのがニンテンドーDSで出る、というじゃないですか。

 私は、
 逆転裁判2のためにゲームボーイアドバンスを買いました。
 逆転裁判3のためにゲームボーイアドバンスSPを買いました。(画面が暗かったので、前のは甥にあげた)
 そして、
 逆転裁判4のためにニンテンドーDSを買ってしまいそうです……。

2004年12月12日

(HK)我的餐廰とちょっとした決意

 今日は少し足を伸ばして11月7日に書いた食堂に行ってきました。なんと店名は驚きの『我的餐廰』、日本語に訳すと『私のレストラン』でした。80年代に作られたペンション、もしくはラブホテルのようなセンスです。いや、ネーミングに反応してそういう想像をしてしまうあたり、私自身がセンスがない証拠なのかもしれません……。
 で、いつものように『凍鴛鴦』を頼んだのですが、今日は鴛鴦についてちょっと書いてみます。

 日本語でも中国語でも『鴛鴦=おしどり』です。日本でおしどりと言えば『おしどり夫婦』なる言葉がすぐに連想されると思いますが、実際のところどうでしょう、その言葉は。私だったら使いたくない、使われたくない部類に入ります。
 「いつも連れ添っている」という描写で用いるならまあ我慢しますが、ただ単に「仲がいい」という意味合いだけで使っていたなら、
「おいおい、夫婦って普通、仲がいいものではないんかい?」
 と絡みたくなりませんか。特に、
「いわゆるおしどり夫婦であった。」
 といった文章を読んだら、
「おいおい、何か他に書きようはないんかい?」
 と絡みたくなりませんか。ええ絡んでばっかりです。

 例えばgoogleで検索してみると、A型の男性とAB型の女性が結婚すると『いわゆるおしどり夫婦』となるそうですが、これって説明しているようで実はぜんぜん説明になっていない、と私なんかは思うのです。まあ、血液型性格判断の害悪が叫ばれている昨今、そういう適当な描写で濁しておくのはいいことかもしれません。

 強引に結論です。
 『いわゆるおしどり夫婦』というフレーズに象徴される、一見まともだけれど内容のない表現に対して、自分は敏感でありたいと思います。ここまで読んでくださった皆様のために。

2004年12月10日

(HK)紅灣半島のこと

 「紅灣半島」という、香港政府が間違って建ててしまったといわれる公営住宅があります。既に7棟が建っており、それぞれが40階で計2470世帯が住めるとありますから、大きさの想像がつくと思います。
 この住宅群、ちょうど香港の景気が悪いときに完成しました。そのため、ひとたび入居を開始してしまえば(とても高い)香港の不動産相場が暴落して大変なことになってしまう、と心配されたそうで、結局今に至るまで未入居のままです。
 でも、その状態のままだと負債に他ならないので、香港政府はこの住宅群を民間に売り払ってしまいました。
 すると払いうけた民間企業のほうは、
「貧相な公営住宅のまま分譲するよりも、高級志向の住宅に建て直して売ったほうが利益がでるんじゃん?」
と考えて、未入居のまま「紅灣半島」全部を一度更地に戻すことを決めました。
 ポイントは「紅灣半島」がビクトリア湾を望む一等地に建っているというところです。それがきっと第一の過ちでしょう。
 先週、不動産会社が正式に「更地に戻す」と宣言しました。色々な反対運動も起こりそうです。

 とりあえず、極力客観的に整理してみました。

2004年12月9日

(HK)ドラゴンクエストVIIIにまつわる会話文

 同僚の一人が、
「(あ)さん、ドラクエ8手に入れたんですよ!」
 と自慢してきました。ちなみにここは香港です。
 そして彼は無邪気に、
「終わったら貸しますから!」
 なんて言い出すので、
「いいから、いいから」
 と曖昧に答えたところ、
「え、(あ)さん、やらないんですか?」
 となぜか逆に質問されてしまいました。

「えっとー、そもそもプレステ2持ってないし」
 と仕方なくやっぱり曖昧のままにしておきました。

2004年12月8日

(HK)受諾可能

ランハムの女の子はNadiaさんと判明しました。この記事の下部にある戦場ヶ原さんのコメントをどうぞ。

 香港は労働市場が流動的で、今いる会社でも人の出入りがとても激しいです。そんなわけで、今日は中途採用の面接をしました。面接があまりにも多いので、最高人民たちはそんな雑務にかまってられず、私のような下っ端の出番となるのです。

 さて、今日面接した彼女は趣味を大事にしたいとやらで、自分の時間をしっかり確保したがっているように見受けられました。お約束で残業できるかどうか聞いてみました。すると彼女は……、

「大体どれくらいの時間まで残業で残るのですか?」
「日によって違いますが、7時とか8時です」(私たちの答え)
「受諾可能です」

 実際のところ彼女は英語でAcceptableと答えただけです。でもそれは私の脳内で日本語へと変換され、結果、ちょっと考え込んでしまいました。きっととても正直な人なのでしょう。でもその局面では力強くNo problem、もしくは広東語で無問題[もうまんたい]と答えてもらいたかったのです。

2004年12月6日

(HK)朗豪坊[ランハムプレイス]の広告に出てくる人造女の子

 自分のことをノーマルな趣味の人間だと思っていますが、何がノーマルなのかは人それぞれ違うわけで、つまり気に留めてしまったということは、そういうのが好みだということに他ならないのかもしれませんが……。

 煮え切らない書き出しですが、ええと、金曜日の都市日報に一面広告が載ったのです。旺角[モンコック]に朗豪坊[ランハムプレイス]なるショッピングセンターがオープンしたとのことでした。旺角は香港の代表的買い物ポイントで、かつ代表的夜の街でもあります。私は香港映画には詳しくないのですが、旺角はいわゆる黒社会の根城としていつも描かれているようです。
 とはいっても、普通に行動しているぶんには黒社会の影を感じることなど皆無で、朝から晩まで若者と観光客でにぎわっている街です。

 さて、この一面広告ですが、アニメというか3DCGというか、いわゆるオタクさんが喜びそうな赤褐色の長い髪の人造女の子がでかでかと載っています。というかコンテンツはほぼその子だけです。彼女は左手で指差しながら「ランハムプレイス」に行こうよと誘っている様子ですが、不必要に肌を露出させています。風邪をひくのではないかいう心配、いやむしろ、周りの視線が刺さってケガしてしまうよ、という心配をしてしまいます。まあ生身の人間ではないので余計なお世話でしょうが。

 彼女が身に着けているのは水着なのか防具なのか、それともお子様にはわからないもっと特殊な用途のものか、黒い皮のような光沢を持つ不思議な服です。それはセパレートの水着のように胸の部分と下半身とを必要最小限に覆っているのですが、不思議たるゆえんはセパレートの上と下の部分がつながっているところです。両胸の間の地点から細く生地が分岐し、おへその上を通って下のパーツまでつながっている、と。どういう用途があるのか分かりませんが。
 そんなへんてこな服を着せられているにもかかわらず、ウインクまでしてのけるというのはどういうことでしょう。

 なんか冷静に描写してしまいましたが、こうやって描写できたのは手元にその都市日報があるからです。いえ、断じてその広告目当てで持ち帰ったわけではないのです。それから(強引に話題転換)、その女の子をでかでかとプリントした二階建てバスまで見かけました。
 ああいうのって、ジャパニメーションの影響なんでしょうか。いやでも少なくても日本だと、そんなに人目につくところまでは進出してはいないような気がします。

さて、朗豪坊[ランハムプレイス]のURLはhttp://www.langhamplace.com.hkです。私のナローバンドではそのアドレスの表紙までしかたどり着けず、そこには彼女はいませんでした。

2004年12月5日

(TEXT)福永、初めて香港に出張する。


 受付には宮田さんという現地採用の若い女性が来てくれた。福永の格好を一目見
て言う。
「わざわざスーツでいらっしゃったんですねえ」
 確かに今日は十二月だというのに随分な陽気で、地下鉄の駅からこのビルまでの
短い距離を歩くだけで福永は汗をかいてしまっていた。それでもこの後のことを想
像すると今度は違う種類の汗が出てきそうになる。経費削減とやらで、福永一人の
出張しか認められなかったのだ。福永の脳裏に部長のイヤミな顔が一瞬浮かぶ。


 宮田さんに案内されて福永は会議室に入る。既に中には揃いの上着をはおった中
国人のエンジニアが集結していた。自分よりも若い連中ばかりだった。リーダー格
のメガネをかけた男(実際のところ、彼らのほとんどがメガネであったが)が立ち
上がり、福永に握手を求める。この歳にして初の海外出張で、また福永にとっては
挨拶で握手をするというのも初めてである。ぎこちない英語とぎこちない手。自分
の手がまだ汗ばんだままのような気がして恥ずかしくなる。その後何とか、彼のビ
ジネス・カードと福永の名刺の交換までこぎつけた。
 福永はそこでやっと彼がレイだとわかった。というのも、このレイというイング
リッシュ・ネームの人物とは何度もメールのやり取りをしているのだ。初対面にも
関わらずレイはきれいな発音で『フクナガさん』と「さん付け」までして呼んでく
れた。あらかじめ宮田さんに確認していたのかもしれない。


 気付くとレイの後ろには人の列ができていた。福永はまるで芸能人のように次か
ら次へと握手をし、名刺を渡していくことになった。ところがレイとは違って、彼
らは『フクナガ』と発音できない、というかそもそも四文字を覚えることができな
いようであった。皆ローマ字表記のところを食い入るように見ている。福永は自分
の名を何度もゆっくりと復唱しなくてはならなかった。
 そういうことを繰り返していると、やがて彼らは口々に同じ言葉、『フーヨン』
と言い始めた。すぐに分かったことだが『福永』の中国語読みが『フーヨン』なの
だった。そしてその場で福永は『フーヨン』なるイングリッシュ・ネームを獲得す
ることとなる。


 何とか打ち合わせを終えた福永は、帰りに宮田さんに再会したのだが、彼女まで、
「フーヨンさん、困ったことはありませんでしたか」
 なんて言い出したので驚いてしまった。おまけに彼女は福永の顔をまじまじと
見ながら、
「フーヨンなんて女性アイドルみたいで、かわいらしくていいですねえ」
 とうれしそうに付け加えるのだった。



これはフィクションです。

2004年12月4日

(HK)早かった一週間

 気付いたら金曜日でした。そしてもう十二月に入っています。
 ええと……、

 今週は二回も最高人民抜きの飲みがありました。
 いつものレストランにて、日替わりメニューが匈牙利牛肉飯だったので注文しました。当然のようにジプシー音楽は忘れました。
 G白河さんが色々なトラブルにはまっているのを大抵温かく見守り、まれに助けてあげました。そういうときにがんばって英語を使えば身につきますから。
 円高に心を痛めました。香港ドル建てで給料をもらっているもので……。


 11月30日付けの都市日報によると、日本人の天野隆一さんと小川美穂さんが結婚式を挙げたそうです、ビクトリア・ピークで。写真も載っています。
 なんでも、二人はもともと山頂で儀式をしたいという希望を持っていたそうですが、仕事で香港に来た天野さんが、ビクトリア・ピークから見下ろす街並みにほれ込んだため、今回の次第となったそうです。おめでとうございます。
 ウエディングドレスを着た女のかたは正面を向いていい感じで写っていました。反面、男のかたは頬にキスをしている最中だったので横顔だけでしたが。


 時々このように独自取材らしき記事も載る『都市日報』ですが、実は『Metro』という名前で世界のあちこちの都市に存在している、とのことです。正体は広告料で支えられている(であろう)フリーペーパー形式の新聞です。日本にはまだ上陸していないと思います。
 香港では都市日報は地下鉄MTRの構内に置かれています。車内での暇つぶしにと多くの人が取っていきます。人々は読み終わるとかばんにしまって持ち帰ったり、それがいやだったら降りる駅で捨てたりしていたのですが、最近リサイクルが始まりました。いいところに目をつけているなと感心しています。
 そもそもフリーペーパーなので『中古が出回ったせいで新品が売れなくなる』ということを心配しなくていいわけで。リサイクルによって『発行量を増やさずに読者を増やす』という利点が生じます。
 回収した都市日報は係員によりチェックされ、再生品と分かるように印をつけられ、スタンドにて再配布される、と配慮も行き届いています。
 でもそういえば、最近日本の芸能情報はあんまり載ってないですね……。