2003年9月5日

(HK)悲劇

ポークカレーを頼んだことが悲劇の始まりであるとは、知る由もありませんでした。私が昼食として頼んだそれにはスプーンだけでなく、フォークとナイフも添えられていて、あれっと思っていると、カレーライスの上に豚の骨付きの一枚肉がどん、と載って出てきたのです。
私は三種の道具を使い分けながらカレーを食べ進めるという初めての体験をすることになったのですが、いやそれはなかなか混乱する作業で、またご飯の上に切断対象物が存在しているので難易度も高く、やがて私はナイフを力強く皿に当ててしまう決定的なミスを犯してしまいました。その瞬間皿から元気よくジャガイモが飛び出し、それは私のズボンのファスナーのところに行儀よく着地したのです。ベージュの中にべっとりと黄色が付着して、絶妙なコントラストになりました。
私はその出来事でかなり気分が落ち込んだんですけど、皿全部がひっくり返るほどの大惨事ではなかったので、加えて、なんとなく叫ぶタイミングを逸してしまったので、誰も私の悲劇に気付かなかったのです。急いでジャガイモを取り除き、落ち込んだ気分のまま再び皆との会話に復帰したのでした。

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