2004年10月31日

(HK)床屋にて

 日本にいる時から床屋という存在があまり好きではありませんでした。何かしら話をしなければいけないようなあの場の雰囲気が苦手なのです。幸い現在は香港に住んでいて、そして英語も通じないような「ど」がつくローカル床屋に行っているせいで、話しかけられることすら稀で助かっています。そこのお兄さんの「髪を適当な長さに切る」という基本スキルはけっこうしっかりしており、いつもそこに通っています。

 今日もその床屋に行ってきました。カットは通常通り問題なく終了しました。けれどもブローが心配なのです。床屋をいまひとつ好きになれないもうひとつの理由がこの点で、私の場合なかなか思うとおりの髪形に仕上げてもらえないのです。いや、床屋の技術をもってすれば容易に仕上げてもらえるのでしょうが、私は大抵この局面に至るまでに疲弊しきっていて、髪型の希望を指示することができないのです。矛盾していますが、髪型なんか適当でいいから早く終わらせてくれ、という気持ちでいっぱいなのです。慣れないコミニュケーションのせいでしょう。

 そんなこともあって、この店ではブローをまかせっきりにしていました。今日はお兄さんが私のことを憶えてくれていましたし、前回も彼にまあまあよく仕上げてもらっていたので、大丈夫だろうとたかをくくっていました。そうすると今回はなんと古典的な七三、むしろ正確には八二に分けようとするではないですか。私はまだまだ若いつもりなのですが、デフォルトで(私が思うところの)おやじ髪型が適用されてしまい結構ショックでした。

 こんなときこそ私は自分の髪型保護のために決起すべきだったのかもしれません。でもやっぱりあきらめモードが入ってしまい、一直線に進行していくおやじ髪型を鏡でじっとみていたのです。八二たる境界線が左おでこから後頭部にまさに伸びようとしていましたが、私の髪の毛は初めて体験するその行いに必死に抗っているようでした。お兄さんがドライヤーとくしで執拗に押さえつけようとする中、私は自分の髪の毛がちょっとだけ誇らしくなりました。

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