2003年12月30日

(TEXT)17期『珈琲ブルース』(宇加谷さん)

 正直に言うと、惜しいなあと思うのです。既に読み終わっていることを前提にこの項書き進めますが、ええと、一番最後に『入試まで8時間』って出てきます。その文がその位置にあるということは、びっくりする、感心するなど、そこでとにかく何がしかのがアクションが読者に要求されている、と私はうがって考えてしまったのです。実際には私はそこで「はあ、そうですか」という気のないリアクションしかできず、そしてそのまま読み終わってしまいました。『入試まで8時間』というのが作者の考える奇天烈ならば、それを文の前半に持ってきて、その勢いで最後まで引っ張るというほうがいいような気がします。最後に持ってくると不発の処理ができません。
 メモという形で、本文に追加で加わっている別種の文章があります。これが本文ほどには良くなく、そして少し分量が多くて少し残念でした。
 悪いことばかり書いてしまいましたが、前半は作者の宇加谷さんの味わいがぞんぶんに出ていたと考えます。その、独自性で勝負しようとしているところは、私はおいしく読み取れたと思っています。

0 件のコメント: