バスは昨日まで歓楽聖誕の表示を引っ張り続けていましたが、さすがに今日からは恭賀新禧と変わりました。しかし私の住まいの近くのショッピングセンターはいまだにツリーを飾っていて、クリスマスソングを流す体たらくぶりでした。そんな香港から力を抜いてお送りします。今年もよろしくお願いします。
本日は、久しぶりに出かけてみるかと思い立ったので、テーマを「路線バスと開通直後の西鉄を味わう新界への旅」とテレ東さながらに勝手に設定して、わざわざ一番遠くまで行くバスを探し出して乗り込みました。
新界とは、香港島、九龍とともに「香港」を構成している地域で、九龍半島の北部——中国の深せんと接する——に位置します。イギリスが一番最後に獲得して植民地とした部分なので、新界(New Territories)と呼ばれます。そこに先月、新しい鉄道が延びました。深せんに向かう鉄道が東鉄なので、それに呼応したネーミングとなっています。
バスの2階席では、道路上にせり出している看板を次々とくぐっていくという香港ならではのダイナミックな車窓の移り変わりを楽しむことができます。そんなわけで今日も2階席に上って前のほうの座席を確保しました。バスが進むにつれて旅人気分が高まってきました。でも正直に言うと、途中急に隣のおじいさんが奇妙で苦しそうなくしゃみを立て続けにしたので、嫌な気分がちょっとだけしました。こういう疑いを抱かせるのはひとえにこの前のSARSが悪いのです。
幸いそのくしゃみは一時的なものだったので、途中からは海を眺めたり、つり橋をくぐったり、山並みを目で追ったり、楽しみました。
で、あちこち構内だとかホームだとかが妙にだだっ広いため、やけに閑散としている西鉄に乗って帰ってきました。
実は着いたところは新興(というほど新しくもない)住宅地らしく、20〜30階建てのマンション(というより、むしろ日本の昔の団地のイメージがしっくりくる)が立ち並んでいるだけのところで。一番大きなショッピングセンターに行っても空きテナントが目立つ状態で、それでも場外馬券売り場のまわりだけはあらゆる年代の男性で埋め尽くされていた、という、まあ、なんともな有様でした。
しかしちょっとは見るところもありました。途中で自称フリーマーケットなる仮設店舗の集合を見つけ、立ち寄ったのです。そこは日本情緒をちょっと意識したもので、入り口で着物と思しき格好をした女の子がチラシを配っていました。着物はど派手な金色で、絶対に日本では見ないような類のものでしたが。
中はそれなりに混雑していて、日本情緒ゆえか、金魚すくいが行われていました。やり方も同じです。そんなのをちょっとほほえましく見ていた時、ふと横に目をやると、もっと大勢の人が金魚すくいの変種みたいなものをやっているのに気付きました。海老つりでした。
でかい水槽に10cm近い大きさの海老がたくさん放られていて、水槽を取り囲んだ人たちはおもちゃのようなつり仕掛けでそれを狙っています。金魚すくいより人々の気合が違うように感じられました。それはおそらく、金魚とは違って捕まえた海老は食べられる(「られる」は受身でもあり可能でもあり)ものであるからでしょう。事実、海老たちは即座にビニール袋に入れられていました。当然、そこに水は入っていませんでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿