2004年1月6日

(HK)吉野家にて

 香港の吉野家には大変お世話になっています。で、このページでも何回か触れているのですが、今日も驚きがあったので記すことにします。
 私が座った席の前方に、きれいな女の人が一人座って、牛丼らしいものを上品に食べていたのです。「らしい」というのは、こちらではそれ以外のメニューも豊富なので。
 それはなかなかに関心を引く光景だったのですが、見続けていると怪しい人になってしまうので、私は食べる合間にちらっちらっと観察していました。そして何回か見ても、やっぱり上品に感じたのです。
 しかしどの辺が上品なのか、すぐには気付きませんでした。ぼーっと、なんだかいいなあ、と思って見ていただけで。彼女はれんげと箸の両方をうまく使って食べていたのです。
 結局、そこで謎が解けました。丼の中から適当なサイズに具とご飯を切り出し、れんげに移し変えて食べるという作業が、ひどく新鮮だったのです。このれんげ、香港の吉野家では注文をすると必ずトレーの上に割り箸と一緒に載ってきます。私なんかはもうぐうたらになってしまったので、丼全部をこのれんげでいただいたりしていたのですが、その瞬間なんだか自分が随分粗野であるように感じられて。
 とどめは味噌スープでした。日本と同じように味噌スープはお椀に盛り付けられています。そこで彼女は当然のようにれんげを入れてすくって飲んでいたのです。参りました。
 吉野家なんだから、日本風に食すことは決して悪くはないんだ、と自分に言い聞かせつつも、目の前で繰り広げられているどことなく高貴な振る舞いのせいで、ちょっとだけ複雑な気分になりました。

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