2005年4月24日

(HK)複雑な日曜日

 同じような仕事をしていて、昼ご飯なんかも一緒に食べている、近い歳の日本人が日本へ帰ってしまいます。転職するとのことで。

 私自身転職を経験しているので、『同期』のような職場の人間関係というものは人為的なものである以上、ずっと続くものではないのだ、と承知しています。また、転職していったからといって、つながりが全くなくなるわけでもないのです。一年、二年のスパンでは会えないかもしれないですが、そのうちきっと機会があるでしょう。私は万事そんな感じで考えています。

 今日は送別会のようなのりで、船を借りてクルージングとやらを企画しました。一緒に働いている香港人のエンジニアも呼びました。無人島に渡って砂浜でバーベキューをするなんていう、今日本にいる家族には申し訳ないような娯楽をしました。費用はいつものアクティビティ――最高人民と日本食に行き、そのあと二次会で女の人が横に座ってお酒を作ってくれるようなカラオケに行く――と同じぐらいで済みました。今日のほうがよっぽどいい使い方でしょう。


 船がビーチを離れ香港の街へと戻っていく間、ぼんやりと景色を眺めていたのです。

 絶え間なくエンジン音がしています。明らかに日本とは違う、黄色っぽく明るい色彩をもつ岩肌が見えます。
 さっきよりも日が傾いてきています。けれども湿度が高いせいか空気は未だ生温く、それは香港の本気の夏には到底及ばずながら、南にいるのだということを思い出させてくれます。自分は今、こんなところにいるんだな、なんて。

 すると急に少し寂しくなりました。一人が日本に戻ってしまう、ということもそうですが、自分も後どれくらい香港にいる、いれるんだろう、などと考え始めてしまったので。加えてもう一つ、あることに気付きました。

 唐突ですがその時、私は『書く力』が欲しくてたまらなくなったのです。というのも、きっとだめな自分は『寂しかったことを忘れてしまう』――実はそれが『気付いたこと』――そしてそれがいやならば、思ったこと感じたことを表現しておかなければならない、と考えるに至ったので。

 プラスチックの白い椅子に座り海風を受けながら景色を眺めていた、そして色々と考えをめぐらした2005年4月24日でした。

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