2003年8月18日

8月3日の1000字日記……作者(あ)(2003.08.18; 1000文字)


 正直香港という街自体に興味があったわけではなかった。土曜に買い物客
がごった返す中を目的もなくさまよったら、もう街歩きは十分という気分に
なった。女の人ならブランドショップなど見て回るのだろうが。それで日曜
はフェリーに乗ることにしたのだ。先週自分はずっと半島側にいたので、い
ざ初めて香港島に行かむ、それならやっぱりMTRじゃなくて船だよね、と
一人で変に格好付けてみたり。
 屋根はあるけど窓はなく、加えて木製の椅子が何となくテーマパークっぽ
い、そんな船に乗り込む。日差しが遮られているだけでなく、実際水辺の気
温は低いのだろう、先程のうだる暑さはなく快適だ。ゆっくりと船が進み始
める。窓の向こうは香港島で、様々な意匠のビルが密集している。中でも目
立つものには大抵巨大な広告が取り付けられている。日本企業のものにどう
しても目が行く。日本人がんばってるなあと、異国の地で少し感慨深く。
 あっという間に中環につく。ちょっと物足りない。もっと海から街を眺め
たい。そこで別の埠頭へと向かう。香港島に着いた時点で予定は全て消化済
みだった。後は未定だ。7号、6号、5号と見て回るが目的地がピンとこな
い。調べたかったけど、ズボンのポケットに財布とパスポートを突っ込んだ
だけの手ぶらで来てしまっていたのでそれは叶わず。4号埠頭に来た。ラマ
島行きと書いてある。ああ確か、ビーチがあって車が走っていない、そんな
小さな島だったはず。試験の山が当たった気分だ。時刻表を手に取る。見る
と思ったより本数があった。改札が騒がしい。そろそろ船が出るようだ。そ
れなら決断は急がねばならない、ここは乗らねばならない!
 結局ビーチに来たのだが、水着など持っていないしそもそも一人なので、
日陰で座ってぼんやり海を見るしかすることはなかった。ここもそんなに暑
くなく、そして負け惜しみでも強がりでもなく、贅沢な時間を過ごした。と
りとめなく考えた。思えば遠くに来たもんだ、というようなありがちなこと
を。
 島では欧米人を多く見た。英語をろくに使えないからひがみも入る。でも
何とか食堂で海鮮炒飯を注文した。出てきたそれは予想以上に質素かつ大量
だったけど、とてもおいしかった。結局ビールも頼んだし10%のサービス
料までも加わって結構な値段になった。香港では往々にしてこういうことが
起こりうるが、香港全体がテーマパークだと思えば納得できる範囲内なのか
もしれない。

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