梅田望夫 My Life Between Silicon Valley and Japan - 直感を信じろ、自分を信じろ、好きを貫け、人を褒めろ、人の粗探ししてる暇があったら自分で何かやれ。
天邪鬼な私はここ香港にて梅田さんのメッセージを読んでいます。
はじめに、そこに書かれた生き方はとてもすばらしいと思いました。でも今日はそれ以外に考えたことを書き記します。
今回の梅田さんのメッセージは一般論ですが、梅田さんがアメリカにいる点と、ソフトウェアに関係するはてなに勤めているという点は、常に割り引かなければいけないと思います。ウェブ上では似たような立場の人の意見が目立ち、それがウェブ上にバイアスを作っているような気がするのです。
例えば、同じエンジニアでもトヨタでエンジンを設計している人だとか、シャープで液晶のプロセスに関わっている人だとかは、絶対に実名でウェブに出てこないでしょう。彼らが仕事のことを書いたところで利益がなく、というか機密を漏らしているだけになるので。また、長時間労働でエンジニアを拘束し、それによってアメリカのホワイトカラーから仕事を奪い取っている中国やインドの会社も存在するはずです。低賃金の人々は将来の給料アップのために劣悪な労働条件をいとわないでしょう。
Googleのような理想的(と言われている)環境は、アメリカ全ての仕事に当てはまるわけではなく、結局、ウェブに見えている「人と人のつながり」や「仕事のすばらしさ」だけが世界の全てではありません。
優秀な人材がアメリカに集まる、というのを否定しているわけではありません。それはちょうど世界中の野球選手が大リーグを目指すのと同じかもしれません。だとすると、野球好きな子供が大きくなるにつれて自分の才能のなさに気づくように、ソフトウェア好きな人も自分の能力についてよく検討したほうがいいよ、と言いたいのです。「ソフトウェアなら自分も使っているし、色々情報も知っているし」、なんて安易に考える人がいるような気がします。ソフトウェアは始めるのにお金があまりかかりませんが、その低い参入障壁ゆえに今後競争が熾烈になると私は予想します。ましてますますグローバルになるこの時代においては。
トリノオリンピックはもう一年以上前になりますか。あれを見ていて、北欧の選手はどの競技でも強いなあと感じました。また、日本だとただのマイナースポーツですが、向こうでは多くの人々が寒い中観戦します。
選手たちの生まれた環境が冬季のスポーツをするのに適していて、かの国の身体能力に優れた人の何割かは冬季競技を選択するのでしょう。また、そういうスポーツを楽しむ土壌がヨーロッパにはあるんですね。
反面、野球の人気はありませんが。
強引な結論として、ウェブ上で学生と思しき人によく見られるアメリカやソフトウェアやベンチャーの単純な礼賛は視野が狭いゆえの行きすぎではないかと。また、日本人に適した仕事分野というものが他にあるはずだと。私自身は私のいる業界が日本人に向いていると信じているのですが、だからこそ香港にいるのですが。
繰り返しになりますが、今回の梅田さんのメッセージは仕事や生き方に対するものであり、私はそれについてどうのこうの言っているわけではありません。
考えてみると、いくつかの仕事は取っ掛かりが難しい(=梅田さん風に言えば「高速道路が開通してない」)し、ウェブにはあまり情報がありません。何億円もする装置がないとはじめられなかったりしますから、ベンチャーは難しいでしょう。だからといってそれが「好きなこと」かつ「飯が食えそうなこと」にならないかというと、そんなことはないのです。
ええと、つまり、今の香港での自分の仕事がそういうタイプのものなはずなので、もっと「自分で何かやれ」←自分へのメッセージ。
ほらそこに「巨人の肩」が! 登るんだ!
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