ふとBS2を見ると何かアニメをやっていて、そこに映っているのがずいぶんと香港っぽい街並みなんですね。でNHKのページを見てみると『攻殻機動隊』だそうで。題名だけは聞いたことありましたが、見るのは初めてでした。
1995年の映画ですか。市街地の建物の上すれすれを飛行機がかすめていくのは、香港の空港がまだ九龍にあった時の光景そのもののように見えました。いや、私はリアルタイムで旧空港を経験してはいないのですけど。主人公たちが飲む缶ビールは当地おなじみの生力(サンミゲル)だったり、スターフェリーっぽい乗り物が背後に映ったり。高速道路自体もそれっぽいですが、そこから見える景色ときたら、まさに香港の下町です。圧巻は広告がぺたぺた貼ってあるぼろぼろの雑居ビル、それから道路に張り出した色とりどりの看板! 雰囲気よく出ていました。
自分の中では香港の街並みは本当に当たり前の日常になってしまって、普段は何とも感じません。でも、こうやって物語の中で見せられると興奮してしまって「これは佐敦のあたりっぽい!」「(画面の中の看板に書かれた)浙江なんとか銀行って何それ!」とか、リアルタイムでぶつぶつつぶやいていました。今日はとても誰かに語りかけたかったです、自分が気付いたことについて。というのも今日は一人で見ていたもので。
物語の舞台となったところを旅する『巡礼』なる趣味があるそうですが、分かるような気がします。映画のメッセージは万人に向けられているはずなのに、ある種の良くできた作品はあたかもそれが個人宛てであるかのように錯覚させます。そしてそれを受け取った観客は、メッセージを各自の方法で膨らましにかかる、と。他人と語り合うことや『巡礼』はメッセージの消化・昇華なんでしょう。とまあ作品のもたらす効果については分析できているのに、それを止められない自分がいます。
ところで検索したけど出てこないです。浙江興業銀行か浙江商業銀行だったと思うんですけど。前半、逃げている人を川に追いつめて、女の人が透明になって格闘するシーンです。やがて決着がついた頃に男の人も現場に到着します。彼の背景に確か浙江興業銀行か浙江商業銀行の看板が縦書きであった気がするのです。登場人物の名前も、透明になる何とかという技術も知らずに映画を見ていましたが、看板だけが気になります。本当にどうでもいいことですね。
とはいえ話はというと、途中から見たせいか、背景に気をとられすぎていたせいか、結局何だかよく分かりませんでした。台詞もコンピュータっぽく、こもることが多く聞き取りにくかったですし。なのでもう一度見ると思います。それでも再度背景のほうをじっくり見てしまいそうです。
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