2007年2月4日

(HK)テレビ日記

 海上保安庁の人々の活躍を描く「海猿」を、香港のテレビ局が放映していました。安く抑えるためでしょう、海外のドラマを放映する場合、こちらでは吹き替えを当てずに中国語の字幕をつけて済ませるケースがほとんどです。そのためこの「海猿」でも日本語がそのまま残っており、我が家でもその番組を楽しむことができました。


 中国の不審船が沈没しかかっている回でした。甲板にその船の乗組員が出てきて、巡視艇の救助を待っていました。主人公側が彼らに中国語で呼びかけます。するとその訳が日本語で字幕として表示されました。
 ところで、今放映されているのは香港ですから、そのオリジナルの字幕の上にさらに中国語がつき……画面の約半分を字が覆うという異常な事態になりました。


 で、思ったのですが、「海猿」を香港でやるというのはありなんでしょうか。中国人が日本の海を守るプロに感情移入できるのでしょうか。大体、海上自衛隊と海上保安庁の区別もついていない人々です。というのも、尖閣諸島をめぐるトラブルのときも、日本海軍に邪魔されたとか報道されていましたし。


 ドラマは進行し、不審船の乗組員は安全に救助されました。けれども主人公たちは乗組員の雰囲気に疑問を持ちます。まだ船には何かある……そう感じた主人公たちは沈没寸前の船に再び戻り、船底に中国人密航者を発見しました。乗組員たちは事実が露呈することを恐れ、密航者たちを閉じ込め見殺しにしていたようです。


 裏にどういう事情があったのかはドラマの中では明かされませんでした。主人公たちが奮闘し、密航者をも助け出すというのが主題ですから。乗組員たちは良心のない人々という描き方をされていただけです。密航者は字幕では「偸渡客」と明記されていました。「偸」は「盗む」で、つまり日本語のようなオブラートなんて皆無の言葉です。


 中国人の密航という犯罪を典型的に描写することについては、当然のことのような気もしますし、もし日本人がそういう風に描かれると……と想像すると少し申し訳ないような気もします。何というか、判断できません。ひょっとしたら香港は中国本土の人間の密航先なので、その描写に共感できたのかもしれません。
 国籍について極力思い込みをせずに人間だけを見ようという態度でいますが、それとは別に、こういった件は本当に難しいなあと思ったのです。

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