2006年9月2日

(HK)スーパーのタラバガニ

 家の近くのスーパーは、香港資本のどこにでもあるチェーン店のひとつに過ぎないのですが、時々びっくりするようなものを売り出します。先週はタラバガニでした。

 鮮魚売り場に行くと大きな水槽が設けてあって、その中に生きたタラバガニが2匹いたのです。この辺で採れるカニではないと思うので、空輸でもしたのでしょうか。しきりに口の周りの触角みたいなものを動かしていました。北の海で育まれたであろう立派な足と、とげのある甲羅でした。本当にカニって複雑な造形をしています。
 そんなふうに私はしばらく感嘆しながら見ていました。そして、それだけでは済まさずに別の買い物をしていた家族を水槽の前まで連れてきて観察させました。でも、家族にはカニの面白さがわからなかったようです。
 当然その生き物は商品で、大:800ドル 小:600ドルぐらいの値段がついていました。2匹が大なのか小なのかは不明でした。けれども小でも日本円でおよそ8000円という値段がついており、こんなところでそんな買い物をする人がいるのか、いたとしても調理できるのか謎に感じました。

 今週はそのスーパーに2回行きました。1回目には何とカニは3匹に増えていました。2回目には水槽が撤去されていました。この事実から多分誰かがお買い上げになられたのだと思います。そして私は悲しいような安心したような変な気持ちになりました。

 エゴ以外の何物でもないのだと自覚しています。私も昔タラバガニの足の部分を軽く火であぶって食べたことがあり、大変美味だと思いましたし。とりあえず廃棄処分にはならなかったようなので、それはよかったのではないかと。でも、香港の消費者がいくら金を持っているからといって、生きたまま空輸してスーパーに並べるのはタラバガニを金持ちの「おもちゃ」扱いしているような気がしました。
「はっはっは、じゃあパパがこのタラバガニを買っちゃうぞー」
 みたいな。それが商売だと言われれば何も返せませんが。
 せめてこちらの日本料理屋に卸して、職人にさばいてもらいたいと思いました。あ、でもこっちの金持ちはスケールが違うので、実はタラバをさばける料理人ぐらいお抱えなのかもしれません……。

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