2005年12月21日

(HK)WTOが去りました。

 仕事上の付き合いがある方に、晩御飯をご馳走になりました。日本から出張で来ているその人(Aさん)と、そこの会社の香港オフィスのローカルのスタッフ(この文ではとりあえずエリックと呼ぶことにします)と、私の三人で中華を食べていました。
 エリックさんは日系の会社に勤めているからでしょう、日本語に興味を持っているようでした。まだカタコトの挨拶ができる程度でしたが、Aさんから色々教わっていました。


 さて、日本人二人がビールをどんどんと空けている時のことです。突然Aさんが、
「エリック、『ほもだち』なる日本語を知っているか?」
 と言い出したのです。私は吹き出しそうになりました。
 きょとんとしているエリックに、Aさんは説明します。
「『ともだち』じゃないんだよ……俺とお前のような、『ともだち』よりももっと親しい、それが『ほもだち』ってやつなのさ……」
 ああ、こうやって日本語を使って書くととっても怪しいです。

「分かるかエリック……、俺とお前は『ほもだち』なんだよ……」
 エリックが私に助けを求めてきました。Aさんの言っていることは本当なのか、と。既にほろ酔い気味のAさんはエリックと肩を組んだりし始めていたので、エリックも怪しみだしたのでしょう。でも私はAさんに遠慮して、
「『ほもだち』っていうのは特別な関係なんだよ」
 という解釈にとどめたのでした。


 やがて何か感づいたらしいエリックはペンを出し、メニューの余白にこう記しました。
『同志』
 Aさんと私は顔を見合わせます。エリックは言います、
「お前らの言う『ほもだち』っていうのは広東語では『同志』だ」
 と。びっくりしましたが、実はこれは勘違いではなく……さすがにエリックはきちんと理解していたのでした。『同志』にはそういう意味があるのだそうです。さすが資本主義香港。社会/共産主義を揶揄しているんですね。

 最近ではこの『同志』という隠語が普通話の人々にも理解されるようになってきているとか。共産党の一党支配にも綻びが見られます、といった紋切り型で締めたいと思います。

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